“物価の優等生”タマゴも高騰 去年と比べ3割近くも… クリスマスケーキやおでんは?
値上げラッシュが続くなか、“物価の優等生”といわれるタマゴの高騰も止まりません。これからタマゴの需要が増える時期ですが、クリスマスケーキやおでんにも影響がではじめています。
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東京・足立区にあるスーパー「ベニースーパー 佐野店」には、開店前から長い行列ができていました。
9時30分のオープンと同時にお客さんが向かったのは、タマゴ売り場です。1日は「ベニースーパー 佐野店」の特売日。272円で販売している大玉のタマゴが、200パック限定の早い者勝ちで半額以下の128円で買えるのです。
スーパーの特売の目玉として欠かせないという「タマゴ」。ところが――
買い物客
「(以前は)特売だと100円、99円ちょっとで買えるのが、今はね。全然高くなっていますよ~」
もはや「タマゴ」は、“物価の優等生”ではなくなりつつあるのかもしれません。
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去年11月の東京のタマゴの相場価格は、Mサイズ1キロ当たり207円でしたが、夏以降、右肩上がりとなり、今年11月は262円になりました。去年と比べ3割近くも上がっているのです。(※JA全農たまご調べ)
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創業50年以上、東京・江東区にある“町のおでん屋”「増英蒲鉾店」は、「これほどの価格高騰は記憶にない」と嘆いています。
「タマゴ」は店のトップ3に入る人気のおでんダネのため、仕入れ値が上がったときも1つ60円という値段にこだわってきましたが――
増英商店 中島行利代表取締役
「(仕入れ値が)高いままというのは今までなかった。(タマゴの)サイズをかえるか、値段をかえるか」
仕入れ値が上がり続けているため、サイズを小さくする“実質値上げ”も検討しはじめているというのです。
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聖なる夜まで3週間あまり。クリスマスケーキ商戦がますます活況となる中、東京・渋谷区にあるケーキ店「シェ・リュイ 代官山店」では、今年からクリスマスケーキの値段を5%から10%値上げすることを決めました。この店の自社工場では、クリスマスシーズンのケーキのスポンジなどに使うタマゴは、普段の倍、400個以上です。
日本ガストロノミー研究所・製菓担当 田坂唯さん
「(材料費や電気代が)全体的に上がっています。だいぶ苦しいなと感じています」
電気代の上昇などと相まって、タマゴの仕入価格の上昇が追い打ちとなっているのです。
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そして、農林水産省がタマゴ高騰の要因として今、警戒を強めているのが鳥インフルエンザです。1日も鳥取県の養鶏場で殺処分が行われました。今シーズンの殺処分数は、14道県で約352万羽と、すでに昨シーズンの約189万羽を大幅に上回っているのです。
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需要が高まる冬に向け、タマゴのさらなる価格高騰が懸念されています。
「JA全農ひろしま」は“タマゴを長持ちさせる”豆知識を紹介しています。冷蔵庫のドアポケットに入れると開け閉めの際ヒビが入ることがあるため、安定した場所にパックのまま保存することがポイントだといいます。タマゴの丸みをおびた部分に「気室」という空気の部屋があり、タマゴはここで呼吸をするため、丸い方を上に、とがった方を下にして保管すると鮮度が長持ちするということです。