地域経済を支える取り組み…城南信金新トップが中小企業に提案
経済回復に向けて政府が中小企業支援に取り組む一方、多くの中小・零細企業は長引く円安によるコスト高や賃上げによる人材確保などに今も苦しんでいます。首都圏の地域経済を支える信用金庫の新たなトップに、中小企業の抱える課題を聞きました。
東京や神奈川の中小企業など、およそ5万5000社の取引先を持つ城南信用金庫の新たなトップに今月就任した、林理事長。
大企業の好調な業績が目立つなど、日本経済が回復基調にあると指摘される中、中小企業の経営が苦しい状況は続いていると指摘します。
城南信用金庫・林稔新理事長
「円安だったり資源高に対して(中小企業の)価格転嫁がうまく出来ていない。お客さんの中では『やっぱりこれ(価格転嫁)を言っちゃうと仕事がなくなっちゃうんじゃないか』というイメージを持ってる方がまだまだ大半以上いらっしゃいますので」
円安による原材料費の上昇や賃上げのコスト増を、大企業との取引価格や販売価格に十分に転嫁できていないと指摘する林理事長。
およそ30年ぶりの高い水準となっている中小企業の賃上げも、人手不足の中で人材を確保するためのいわゆる「防衛的な賃上げ」だと分析します。
城南信用金庫・林稔新理事長
「賃上げをする理由が前向きな理由じゃなくて、やっぱり人材が逃げないような形で賃上げをせざるを得ないというのが現状なのかなと」
こうした中小企業の置かれる厳しい状況の解決策のひとつとして、林理事長が提案するのが、中小・零細企業が連合体を組み、地域一帯でビジネスや大企業との交渉に取り組む「コンソーシアム」という仕組みです。
城南信用金庫・林稔新理事長
「中小企業零細企業がまとまって、大手さんの受注をあらゆる角度から受けられるようなシステムを作って、その中で価格交渉を、大手企業さんとしながらやっていくのがいいのかなと」
地域を支える金融機関として、中小企業が協力を深めるための場をつくっていくということです。