「メタバース」「トークン」デジタル“新技術”で経済成長を 今後の課題は…
5日、仮想空間「メタバース」の会場に、自民党の河野太郎広報本部長などがアバターで参加し、全国から集まった500人に演説を行いました。政府も注目するインターネットの新技術。どんな課題があるのでしょうか?
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5日、自民党の河野広報本部長が専用のゴーグル端末を頭に取り付けました。すると、「河野太郎です、こんにちは。この試みに集まってくれて、本当にありがとうございます」と、誰もいない空間に向かって、突然、あいさつを始めました。
実は、河野広報本部長がいたのは、党の街宣車や、のぼりなどが再現された仮想空間「メタバース」の中です。アバターになった河野議員は、全国から集まった500人に演説を行ったのです。アバターは、河野広報本部長の細かい動きまでリアルに再現していました。
自民党 河野太郎広報本部長
「自分の顔がどんな顔になっているか、よくわからないんだよね。あの自動車をバックさせると、バックミラーで自分の顔が見えるんじゃないかと思うんだけど」
「メタバース」の会場では、アバターとして参加していた牧島デジタル相と記者が、アバター同士でタッチするなど、珍しい体験もできました。
牧島デジタル相のアバター
「ありがとうございます」
現実世界よりも近い距離で、コミュニケーションがはかれます。そして、河野広報本部長が「皆で最後とぼうぜ」と提案すると、周りに集まったアバターたちが一緒にジャンプするなど、盛り上がりを見せました。参加した人からは、「良かった」という意見もあれば、「3D酔いした」など、否定的な意見も挙がりました。
河野広報本部長
「おもしろかった。政策の説明なんかにも十分使えると思います」
さらに、「岸田トークン」と名付けられたNFT(非代替性トークン)も、今後のデジタルイベントの参加者にウェブ上で配布するということです。「ブロックチェーン」と呼ばれる新しい技術で、「1点ずつ、本物である」という証明が与えられ、偽造が困難となっています。
こうしたインターネットの新技術には、野党も注目しています。立憲民主党は、専門家との勉強会を行っている他、日本維新の会は先月、議連を立ち上げていて、政策提案をする方針だといいます。
岸田首相は「新しいデジタルサービス、こうしたサービスが生まれやすい社会を作っていくこと、これが経済成長につながる」と、市場の活性化を目指し、制度の見直しも含め、検討していく考えを示しました。
デジタル分野の専門家である京都大学経営管理大学院の山本康正客員教授は「『色々な新しい事をやっている』というメッセージを発することはすばらしいので、ぜひ、どんどんやって頂きたいのですが、実際にどういった形で経済であるとか、持続可能な形にしていくかという所は、より議論が必要ではないかと思っています」と指摘しました。