【衆院選の争点】人口減少対策と地方の活性化 人口増加の自治体で見えたカギと課題
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全国の「市」で、2016年から6年連続で人口増加率1位を達成した千葉・流山市。移住してきた人に理由を聞くと…
4年前に移住
「2020年ですね、茨城から(移住した)。道路が広かったり、子供やベビーカーが多いので、のびのび子育てできてる」
今年、都内から移住
「子育ての施設が充実しているので、すごく(子育て)しやすい」
都心から電車で30分以内。「都心から一番近い森のまち」をアピールし、子育て世代の呼び込みに成功した流山市。人口増加のカギのひとつが…
山田舞子記者
「保護者が通勤等に利用する駅の目の前のビルに『送迎保育ステーション』が設けられています」
この「送迎保育ステーション」に預けられた子どもたちは、バスで各地域の保育施設へ。通勤する親が、駅前で子どもを預けられる仕組みを作りました。
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全国的に少子高齢化が進む日本。地域の活性化が大きな課題となる中、人口を増やしている自治体の取り組みが、ますます注目されています。
福岡県西部にある人口約10万人の糸島市もそのひとつです。2016年以降、人口を増やし続けています。私たちが訪ねたのは、9年前の2015年に移住した井手さん一家。夫婦で革製品のお店を営み、1歳になったばかりの娘さんと3人暮らしです。
9年前に糸島市に移住 井手英史さん
「自然が豊かで、そこがすごく重要で(糸島市を)選んだポイントなのかな」
案内してくれたのは自宅のすぐそば、海沿いの散歩道。
9年前に糸島に移住 井手英史さん
「(娘も)自然を見ながら、きょろきょろして楽しんだり、鳥の鳴き声やセミの鳴き声聞いたり、その辺で何かいろいろ勉強しているのかな」
福岡市中心部から車で1時間以内の距離にありながら、海と山の豊かな自然に囲まれる糸島市。糸島の冬の名産「カキ」も、10月からいよいよシーズンです。子育て世代が観光をきっかけに移住を決めることが多く、人口を押し上げているといいます。
また、市では移住に必要な住宅がスムーズに提供できるような取り組みを強化。空き家の持ち主と移住希望者をマッチングするサービスを運営するほか、はじめは鉄道沿線の便利な地域に住み、その後、より自然豊かな地域で“理想の物件”を探す「二段階移住」も推進しています。
9年前に糸島市に移住 井手英史さん
「どこが住みやすいのかと自分なりに考えるきっかけ作りのための活動は、糸島市はよくされてるなと感じていますね」
しかし、市の担当者は、糸島市にも「人口減少」の影が忍び寄っていると話します。
糸島市・人口減少地域対策係 札本真希係長
「20歳~24歳の世代は、相変わらず減り続けています。海や山の近くのエリアは、人口がずっと減り続けている状況」
労働力を確保し、地域の産業を守るため、市は今年6月にスキマバイトアプリの運営会社と人材確保の協定を結びました。
スキマバイトを活用するカキ小屋では…
“スキマバイト”を利用 糸島かき小屋のぶりん・古藤広子さん
「(糸島にも)働くところはいっぱいあると思います。働きたいと思っている人に、どう情報を届けるかということが大事かなと」
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衆議院選挙の投開票まであと3日。地方の活力を取り戻すための政策議論は、深まるのでしょうか。