「物価の優等生」卵が高値 砂糖も… 両方使うケーキ店は「値上げに…」
卵の高値が続き、専門店では値上げをしたところも出てきています。さらに追い打ちをかけるように砂糖も高値となっていて、卵も砂糖も使うケーキ店からは、不安の声が聞かれました。
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12日、東京・墨田区のスーパーには、朝から行列ができていました。目玉の商品は、特売の卵です。通常は10個入り138円ですが、98円で販売していました。次から次へと、お客さんが手にとっていき、1ケースが約40分で売れました。
しかし…
スーパーイズミ 五味衛社長
「例年に比べたら(卵の仕入れ値)3割くらいアップしています。それ以上高くなったら、もしかしたら(卵の特売を)やめるようになるかなと」
これ以上、高値が続く場合は、特売の中止も検討せざるを得ないというのです。
卵の平均相場は上昇していて、JA全農たまごによると、例年、この時期は、1キロ159円で販売されていますが、今年は215円と56円値上がりしています。
お客さん
「値上がりに関してはちょっと困りますよね」
「毎日(卵)2、3個は食べるので、家計に響きます」
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大量の卵を使う飲食店では、今月から商品の値上げに踏み切りました。
神田たまごけん東池袋店 中川権信店長
「(卵は)1日400個から450個くらい使います。原価も高くなってきてますね」
都内のオムライス専門店では、“ふわふわとろとろ”の食感にこだわっていますが、卵1キロあたりの仕入れ値が、50円~100円高値になっています。
神田たまごけん東池袋店 中川権信店長
「オムライスは卵を多く使うので、値上がりするのは厳しいなと。今年6月からオムライス(全品)だいたい1つ50円くらい(販売価格を)上げさせてもらいました」
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なぜ、“物価の優等生”である卵にまで、値上げの波が押し寄せているのでしょうか。
約7000羽の鶏を育てる千葉県の養鶏場では、地元・船橋産の小松菜などをエサに混ぜ、黄身が濃い“こだわりの卵”を生産しています。ただ、そのエサ代が…
奈良養鶏園 奈良富士男さん
「1.5倍くらいに(エサの仕入れ)価格が上昇してしまいました。ここまで原材料が高騰してしまうと、そこも優等生ではいられない」
原油高騰による物流費の上昇や急速な円安などによって、エサの原材料である輸入トウモロコシなどが高騰しています。年間で500万円以上の経費が上乗せされるため、今後、販売価格をあげることも視野に入れているといいます。
奈良養鶏園 奈良富士男さん
「この世界情勢と含めますと、先行きが見えない。不安ばっかりですね」
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さらに、円安などによる値上げの波は、砂糖にも及んでいました。
スーパーイズミ 五味衛社長
「砂糖はここまで(仕入れ値が)上がると思いませんでした」
三井製糖は、家庭用砂糖の来月の出荷価格を約6%値上げしました。去年から4回目となり、1キロあたり、計29円値上げとなります。
東京外国為替市場では13日、一時1ドル=135円台前半と約24年ぶりの円安水準になりました。今後、さらに円安が進む可能性もある中、卵も、砂糖も欠かせない、ケーキなどを販売するお店では、先月から、卵の仕入れ値が6%ほど上昇。さらに…
シェ・リュイ代官山アドレス工場 長野秀人さん
「砂糖(仕入れ値)が9%くらいの値上げ」
この“Wパンチ”に耐えられず…
シェ・リュイ代官山店 遠山妙子店長
「7月1日から(販売価格を)値上げ。お店全体であがるのは、2年ぶりの値上げになります」
一番人気のモンブランは32円、チョコチョコレートケーキは33円と、ほとんどのケーキの値上げを決断しました。次のような声が聞かれました。
お客さん
「(値上げが)いつまで続くか。悪くなる一方なので、ちょっと困っています」
「家族の分を買うと、やっぱり大きな差になってくると思う」
何度も押し寄せる値上げの波。影響は広がり続けています。