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日本銀行、先週の金融政策決定会合の議論概要を公表

2024年3月28日 11:32
日本銀行、先週の金融政策決定会合の議論概要を公表

日本銀行が17年ぶりの利上げを決めた先週の金融政策決定会合の議論の概要が公表されました。

マイナス金利の解除など、大規模な金融緩和策の修正には賛成する意見が多数だった一方、賃金と物価がともに上がっていく「好循環」が実現するかどうかについては、慎重な見方も出ていたことがわかりました。

先週行われた日銀の決定会合では、マイナス金利政策の解除と長期・短期の金利を低く抑え込む「イールドカーブ・コントロール」の撤廃を7対2の賛成多数で決めました。

28日に公表された会合の「主な意見」では、こうした大規模な金融緩和策の修正について、政策委員らから「本年の賃上げが象徴的な変化として確認されたことから、これまでの市場機能に副作用を及ぼしてきた政策対応を見直し、市場が自律的に機能する局面への転換が必要」「異次元の金融緩和から、いわば普通の金融緩和に移行することは、短期的なショックを起こさずに十分可能であり、中長期的にはプラスの効果も期待できる」など賛成する意見が相次ぎました。

また、ある委員からは「今回の金融政策の枠組みの見直しは、金融引き締めへの転換ではない」との意見も出されました。

一方、日銀は決定会合後、賃金と物価がともに上昇していく「好循環」の強まりが確認されたとして、日銀の掲げる2%の「物価安定目標」が「持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」と発表しました。

ただ、会合の議論では、この見通しに慎重な意見も出ていたことがわかりました。

委員からは「春季労使交渉の妥結状況は強いものの、賃金と物価の好循環の強まりを確認するためには、サービス価格の上昇や中小企業の価格転嫁の進展を慎重に見極める必要がある」「サービス価格上昇の主因は、食材価格の上昇を背景とした外食の上昇などであり、賃上げによる人件費上昇の価格転嫁の影響は、まだ中心的とは言えない」「貯蓄率正常化の過程で消費抑制の影響が強く出る可能性があり、物価上昇に負けない賃金上昇が必要であるため、まだ物価から賃金への好循環が全国レベルで強まっているとは思われない」などの指摘が出たということです。