節分を前に大豆が“高騰” 影響は豆腐や納豆に“家計の救世主”「もやし」にも…
節分の豆まきにも使われる大豆の値段が高騰しています。影響は食卓に欠かせない豆腐や納豆などの大豆製品にも及んでいます。
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2月3日は「節分」です。豆まきには、いった大豆を使うのが一般的とされています。東京・文京区にある豆の専門店「石井いり豆店」では、国産の大豆にこだわっています。今年の大豆の味は「甘みも香りもいい」と太鼓判を押しています。
ところが、大事なかきいれ時の節分を前に、頭を痛めていました。
石井いり豆店 五代目店主・石井雄貴さん
「燃料費・輸送費・各種資材が高騰しているので、販売価格に転嫁せざるを得ない状況です」
去年12月にやむなく店の商品を1割ほど値上げしたばかりです。その上、仕入れ先から「春ごろに、大豆の価格を上げる可能性を通知された」というのです。
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大豆は多くの食品の主原料として重宝されています。その大豆を使った食卓でおなじみの商品にも“値上げの波”が広がっています。
新宿八百屋・新大久保駅前店 廣田廣史さん
「納豆ですかね。納豆も大豆を使っているもんですから」
タカノフーズは3月1日以降、納豆と豆腐類の全商品の価格を最大20%値上げします。原材料となる大豆の高騰などが理由です。ミツカンのぽん酢商品も3月以降、値上げとなります。「味ぽん」(600ml)は434円から477円に引き上げられます。4月以降、キッコーマンの「調製豆乳」(200ml入り)も103円から119円になるなど、大豆を原料とする商品の値上げが相次いでいるのです。
さらに“家計が苦しい時の救世主、「豆もやし」にも値上げの波が押し寄せています。
お客さん
「我が家は1パック(500グラム)、一晩で全部食べきれるほど。安いこともあるし、量もあるし」
大豆を原料とする「豆もやし」の仕入れ値が上がっているため、新宿八百屋では2月以降、一部商品を値上げすることも検討しています。
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家計に影響を及ぼす大豆高騰。実は、その背景には中国が大きく関わっていました。
「アサヒコ」は、スーパーだけではなくコンビニエンスストア向けの豆腐などを製造しています。原料には国産だけではなく、輸入大豆も使用しています。
アサヒコ・行田工場 齋藤直人工場長
「(輸入)大豆の価格の上昇は、一部、海外の産地で不作が伝えられたということ。それから、中国の消費が非常に伸びている」
帝国データバンクが推計した2022年の輸入大豆の価格は、2021年と比べ約3割上昇しました。「中国などによる輸入量の増加で国際的に高止まりが続く中、急速に進んだ円安も影響している」と分析しています。
さらに最近では産地・南米での天候不順なども重なり、輸入大豆の価格はさらに高騰しました。
“物価の優等生”豆腐だけに「少しでも安く売りたい」とコスト削減などの努力を続けてきましたが、3月1日以降、豆腐や油揚げなどのほぼ全商品を10%~15%値上げする苦渋の決断を下しました。
アサヒコ・行田工場 齋藤直人工場長
「吸収しきれない分は価格に転嫁して、値上げせざるを得ないという話をしています」
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大豆の高騰はいつまで続くのでしょうか。“輸入大国”中国の動向が注目されています。