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コロナ禍の不正受給…総額285億円近くに 雇用調整助成金 能登地震では「厳格な制度運用を」指摘

2024年1月30日 12:57
コロナ禍の不正受給…総額285億円近くに 雇用調整助成金 能登地震では「厳格な制度運用を」指摘

新型コロナウイルスの感染拡大以降、事業者が従業員に支払う「休業手当」の一部を助成する「雇用調整助成金」の不正受給の総額が285億円近くにのぼることがわかりました。

これは東京商工リサーチが全国の労働局が2021年2月から2023年12月までに公表した、雇用調整助成金などの不正受給を集計したものです。不正受給の件数は919件、総額は284億7621万円にのぼります。

このうち、東京商工リサーチが企業データを持つ686社を分析したところ、産業別では「サービス業他」が310社と全体の約45%を占めました。業種別にみると飲食業や宿泊業、旅行業などが含まれ、コロナ禍で大きな打撃を受けた業種が上位を占めているということです。

雇用調整助成金は事業者が従業員に支払う「休業手当」の一部を助成する制度です。コロナ禍の2020年4月から2023年3月まで、新型コロナの影響を受けた企業を対象に、支給上限額の引き上げや手続きの簡素化などの特例措置が取られていましたが、これに伴い不正受給も急増していました。

不正受給を公表された企業の中には、特例措置が始まった2020年4月以降に事業を始めた企業も35社あったということです。

政府は2024年1月に起きた能登半島地震への対応でも雇用調整助成金の特例措置を行っていますが、東京商工リサーチは「コロナ禍の混乱を教訓に厳正な制度運用が求められる」と指摘しています。