×

【基準地価】「商業地」上昇率の県内1位は中洲 「住宅地」は新駅効果の一方で“かげり”も 「工業地」の上昇率は全国1位 TSMC効果 福岡

2024年9月17日 18:34
【基準地価】「商業地」上昇率の県内1位は中洲 「住宅地」は新駅効果の一方で“かげり”も 「工業地」の上昇率は全国1位 TSMC効果 福岡

土地取引の価格の目安となる「基準地価」が17日、発表されました。福岡県内の住宅地は、マンション需要や新たな駅の効果で値上がりが続く一方、価格上昇にかげりが見えるエリアもあります。

■永易友希記者
「こちらは中洲4丁目の地点です。現在時刻は午前11時すぎ。業者の車が並んでいて、お店の準備が進められているようです。」

福岡県内の商業地で上昇率トップとなったのは、福岡市・中洲の飲食店などが入るビルです。1平方メートルあたりの価格は、去年の203万円からことしは245万円と20.7%アップしました。

■日本不動産研究所 不動産鑑定士・高田卓巳さん
「コロナが収束して、人出が戻ってきて外国人観光客も戻ってきているということで(ホテルや飲食店ビルの)用途が割安、魅力的に見えてきている状態で、需要が急回復している。」

福岡県が17日発表した「基準地価」は、県内60市町村922地点の、ことし7月1日時点の価格です。工業地の上昇率は11.6%と、全国1位となりました。

■永易記者
「福岡県小郡市にある九州自動車道の小郡鳥栖南スマートインターチェンジです。行き交う車を見てみますと、トラックが目立ちます。」

小郡市ではことし6月、新たなインターチェンジが開通するなど、物流拠点の整備が進んでいます。小郡市の工業地の上昇率は、去年の2.9%からことしは20%と大きく拡大しました。工業地の価格を押し上げている要因の一つが、ことし2月、熊本県に進出した台湾の世界的半導体メーカー、TSMCです。

■不動産鑑定士・高田さん
「熊本県に台湾のTSMCが開業したことによって、半導体関連の用地需要が久留米市や大牟田市にまで及んできている状況です。物流施設に対する需要が引き続き旺盛(おうせい)なので、県内で広範囲にわたって工業地が地価上昇する状況が続いています。」

住宅地の平均価格も8年連続で上がりました。マンション用地需要で上昇率が拡大しています。上昇率1位の福岡市博多区麦野は、去年の25万2000円から30万円と19%アップしました。西鉄・雑餉隈(ざっしょのくま)駅から徒歩5分と“駅チカ”ながら割安感のあるエリアです。さらに、ことし3月に開業した西鉄・桜並木駅から徒歩8分と「新駅効果」も価格上昇の要因となっています。桜並木駅から徒歩5分圏内の福岡市博多区春町2丁目は県内7位、15.1%の上昇率となりました。桜並木駅周辺の住民は、新駅の開業で利便性がアップしたことで新たな人の流れを実感しています。

■住民
「(駅に)歩いて行ける距離なので、早く天神にも行けるようになりました。」
「前はバス停にお客さんはいなかったんですが、朝とか通勤の人と思いますが並んでいます。」

一方で、市町村ごとにみてみると、福岡市に近い春日市や大野城市などでは、住宅地の価格上昇にかげりが見えています。

■不動産鑑定士・高田さん
「福岡市や福岡市中心部へ通勤利便性が高い市や町では、福岡市の地価上昇に連動するかたちで早い段階で地価上昇していったのですが、(建売住宅で)高くなりすぎている物件については、売れ残りが目立つようになってきていて、建売業者も用地取得を少し控えるようになってきているためです。」

専門家は、住宅地の価格上昇がペースダウンしつつある傾向が今後、県内全体に広がっていく可能性もあるとの見方を示しています。

福岡放送のニュース