シリーズ「こどものミライ」 “監督が怒ってはいけない大会” 福岡で再び 小学生のバスケ大会で監督が「怒りを使わないチャレンジ」
オリンピックの感動と興奮が冷めやらぬ中、8月、福岡市内で行われた小学生のバスケットボール大会。10チームが参加しました。
■監督
「ぼーっとしない。」
「どこ見てるの。」
監督の指導にも熱が入ります。すると。
■元バレーボール日本代表・益子直美さん(58)
「静かに怒ってませんでしたか。」
■賀茂クラブ・相浦良次ヘッドコーチ(39)
「怒ってましたか。」
監督に声をかけたのは、元バレーボール日本代表の益子直美さん(58)です。福岡市スポーツ協会とともにこの大会を開きました。
■益子さん
「ちょっとピリッとしていましたね。ミスしたところよりも、できたところとかをぜひお願いします。」
体罰や暴言に頼る指導をなくしたい。益子さんはそんな思いで、9年前に“監督が怒ってはいけない大会”を始めました。
■益子さん
「私自身が怒られる指導をずっと受けてきて、途中でバレーボールが嫌いになってしまって。子どもたちにはもっと楽しい、もっとうまくなりたいという気持ちを育む環境をつくりたい。」
これまでに積み重ねてきた大会は、バレーボールを中心に全国でおよそ30回を数えます。
■監督
「ラストボールの処理は誰がすると。攻撃する2人やろ。いらんこと、手を出さないの。」
■益子さん
「ちょっと威圧感が大きいのでお願いします。」
怒った監督には、注意の意味を込めてバツ印のマスクを渡されます。
今回のバスケットボール大会で益子さんから声をかけられていた、こちらの監督。大きくリードして迎えたハーフタイムに、チームの課題について子どもたちに指示を出します。
■相浦ヘッドコーチ
「思いやりのあるパスを出してください。ディフェンスはきついけど、まだやり始めたばっかりだけど、オフェンスを見ながらやります。悪い手は出しません。」
その様子を見ていた益子さんは、課題だけではなく、子どもたちのよかった点をもっと伝えてほしいとアドバイスしました。
「怒られてきた世代」
■益子さん
「できているところ、きょうよかったところを最後に。」
■相浦ヘッドコーチ
「めっちゃ点がとれたね、このまま後半も60点、目指そう。」
一方、対戦していたチームの子どもたちにも、普段の監督について試合前に聞いてみました。
■子どもたち
「怖いです。」
■塩原ミニバスケットボールクラブ・前田修一ヘッドコーチ
「それは否定はできないです。僕たちも怒られてきた世代ではあるので、確かに(怒ることが)ゼロでは難しいのかなと。怒らないように、褒めたり鼓舞できたら。」
怖い自覚もあるという監督。この日は、どうだったのでしょうか。
■前田ヘッドコーチ
「いいよ、いいよ。ほら。ディフェンス、デイフェンス、しゃべってよー。しゃべって。」
ベンチでは益子さんと、アシスタントコーチを務める監督の妻が見守っていました。
■益子さん
「応援もいい感じだし、どうですか。」
■ヘッドコーチの妻・前田亜佑美アシスタントコーチ
「(怒らないように)頑張っていると思います。」
■前田ヘッドコーチ
「いいよー、やり直し、やり直し、もう1回。」
■前田アシスタントコーチ
「ポジティブに、励ますように。」
■益子さん
「きょうは監督はどう?」
■子どもたち
「あんまり、全然怒ってない。」
■益子さん
「監督、頑張ってくれてるね。」
監督の前向きな声かけで、子どもたちはのびのびとプレーできたと感じていました。
■子どもたち
「普段は怒られるかもと思ってやっているけど、きょうは自信をもってできた。アドバイス、励ましの言葉をもらえました。」
今回の大会で、益子さんがバツ印のマスクを渡したのは1人だけでした。“怒らない指導”への理解が徐々に広がっていると感じています。
■益子さん
「スポーツですから。勝ち負けがあるから、成長がありますから。怒りを使わなくても、勝利と育成が手に入る方法を監督さんもチャレンジしてください。」
※FBS福岡放送めんたいワイド2024年9月5日午後5時すぎ放送