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そもそも"TSMC"ってどんな企業? 投資額3兆円の「ナノテク」を記者が解説

2024年2月20日 18:58
そもそも"TSMC"ってどんな企業? 投資額3兆円の「ナノテク」を記者が解説

菊陽町に建設されたTSMCの第1工場では、2月24日に開所式が行われます。
台湾・北西部に本社がある世界的半導体メーカーTSMC。2021年に日本への進出を発表。総事業費は1兆3000億円。その4割にあたる4760億円を国が補助する「国家プロジェクト」がスタートしました。


その建設地に選ばれたのが菊陽町。約23ヘクタール(東京ドーム5個分)の農地だったこの場所に、24時間体制で工事が進められました。
県内への経済波及効果は10年間で6兆8500億円。いま熊本は100年に一度のビッグチャンスを迎えています。

「Taiwan(台湾) Semiconductor(半導体)Manufacturing(製造業) Company(会社)」の頭文字をとったのがTSMCです。半導体をつくる台湾の会社で、1987年に設立されました。顧客の注文を受けて半導体をつくり供給する受託生産を行うのが特徴です。

こうした企業を「ファウンドリ」と呼び、この業界では世界のトップシェアを誇る会社なんです。(1位:TSMC 57.9%、2位:サムスン 12.4%)

高い技術をもつTSMCに世界中の企業が半導体の製造をお願いしているんです。

TSMCでは7万3000人以上が働いていて、現在台湾を中心に中国やアメリカに生産拠点があり、熊本とドイツにも拠点の整備を進めています。その結果、時価総額はアジアの企業でトップ、トヨタ自動車の約1.5倍となっています。
(TSMC:86兆円、トヨタ自動車:55兆円)

「半導体」は、電気をよく通す金属などの「導体」と電気をほとんど通さないゴムなどの「絶縁体」の中間的な性質があり、その特徴をうまく活用することで電流を制御することができます。

新工場で生産するのは「ロジック半導体」です。高度な情報を処理するパソコン、スマートフォン、自動車など幅広い用途で使われます。菊陽町では、第1工場に加え隣接する土地に第2工場の建設も予定されています。国内初となる第1工場はことし中の生産開始を目指していて、回路幅が12~28ナノのロジック半導体を生産。総投資額は約1兆3000億円。一方、第2工場は2027年末までの生産開始を目指していて、第1工場でつくる半導体よりさらに高性能な6・7ナノのロジック半導体も製造する予定です。

2つの工場をあわせた総投資額は、約3兆円にも上ります。

ちなみに1ナノメートルは、1ミリの100万分1。髪の毛の太さの約10万分の1です。
半導体は回路の線の幅が細いほど多くの電子回路を組み込めるので性能があがります。

熊本の工場で生産されるロジック半導体は日本では最先端で自動運転をする自動車やスマートフォン、カメラのセンサーなどに使われます。日本はロジック半導体の技術が世界的に遅れているといわれています。
国内でより性能の高い半導体を生産できるよう国家プロジェクトとしてTSMCを誘致したんです。

ではTSMCはなぜ日本を選んだのか。キーワードは「経済安全保障」です。
生活に欠かせない半導体を特定の国や地域に生産拠点が偏ると、有事が発生した時のリスクが高まります。
TSMCとしても半導体の生産拠点を分散する必要性があるんです。

ではなぜ熊本にという部分ですが、九州は「シリコンアイランド」と呼ばれるほど多くの半導体関連企業が集積し、熊本には200社を超える関連企業があるといわれています。企業間のアクセスの良さが評価されました。

また豊富な地下水半導体は製造過程で大量の水を使います。第1工場では1日あたり8500立方メートルの地下水を採取する計画で豊富な水資源が評価されました。また高速道路や空港が近いというメリットもあります。

今後、さらに高性能な半導体を製造する第3工場の進出にも期待が高まっています。

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