「熊本の農業の未来は?」TSMC工場開所1年 "工農共存"のサイエンスパーク開発した台湾は
(藤木紫苑記者)
熊本県の集計によりますと、TSMCの進出が発表された2021年10月から去年9月までに231ヘクタールの農地が転用されているといいます。
(緒方太郎キャスター)
元々農業が盛んな地域だったわけですよね。
(藤木紫苑記者)
TSMCの工場周辺の自治体では、半導体関連企業の進出やマンションの建設ラッシュなど街全体が大きく変化しました。一方で、この目まぐるしい変化に今も翻弄され続けている農家がいます。
菊陽町の農家、相馬和幸さんです。TSMCの工場周辺など3ヘクタール余りの農地でサツマイモや落花生などを育てています。
■相馬和幸さん
「今、もう第2工場の建設が始まろうとしてるんですけども、やっぱり大きく様変わりしてますよね 風景も…」
今、TSMCの第1工場が建っている土地にも、父から引き継いだ約15アールの農地を持っていた相馬さん。当時は作付け面積を縮小しようと考えていたため、売却に応じました。
この日、私たちが訪れたのは、第1工場の南側にある約3アールの農地です。相馬さんが地主から土地を借りて作物を育てています。実は、この土地でも、ある計画が進んでいました。
■相馬和幸さん
「自分たちがいるこの場所も、町が工業団地を造るということで…」
去年9月、菊陽町が工場南側の約25ヘクタールに、半導体関連企業の誘致のための工業団地を整備する計画を明らかにしたのです。農地の今後については、地主の判断に委ねられています。
一方で、この農地で育てる作物は相馬さんの収入の4分の1ほどを占めていて、手放さざるを得なくなれば大きな痛手となります。
■相馬和幸さん
「町のことを考えれば、こういう工場とか工業が進出してくるのはいいことかなと思います。ただその陰でやっぱり泣いている農家もやはりいるかなとは思います」
(緒方太郎キャスター)
確かに工業団地の整備のほか、熊本県はTSMCの第3工場の誘致にも動いていますので、今後も農地の転用という問題には向き合っていかないといけないということですね。