減産方針から5年ぶり転換 県産主食用米の来年の生産量 ことしと同水準の31万6100トンに
県産主食用米の来年の生産量を決める会議が30日、山形市で開かれ、ことしの同じ水準の31万6100トンと決定しました。
減産方針からの転換は5年ぶりです。
30日に山形市で開かれた県農業再生協議会の臨時総会で決定しました。
県産主食用米の「生産の目安」は、政府が示した国全体の生産量の見通しと全国に占める県産米のシェアをもとに、在庫量を加味して算出します。
各都道府県はそれぞれ、コメの価格安定などを目的に2018年から主食用米の「生産の目安」を設定しています。これは、来年コメをどれくらい生産するかの指標で、それを決める上で重要なのがコメの「在庫量」です。
県農林水産部の中川文彦米政策推進主幹「コロナの影響などで(県内のコメの)民間在庫量が多い場合はベースとなる数字から一定量減産する調整を行っていたが令和2年(2020年)よりも在庫量は減少している」
県はこのように説明した上で、ことしと同じ水準の31万6100トンを生産する案を示しました。
県内のコメの在庫量の推移を表したグラフ。
新型コロナによる外食需要の低迷でコメの消費が減り、2019年以降2年連続で増加しました。その後、自粛ムードの緩和もあり、コメの需要が回復し、2021年以降、在庫量は減少、ことし6月末現在で10.9万トンとコロナ禍前の水準まで戻っています。
在庫量が減少しコメの需要が回復しましたが、これまで減産を続けてきたなか急な増産への転換は生産者の混乱を招くという懸念から県はことしと同じ水準としました。
会議には、JAや東北農政局の関係者が出席し、「今の生産者の所得を維持するために、ことしと同じ水準にするのは妥当」などの意見が出され、県の案は承認されました。
県農林水産部の中野憲司・技術戦略監「コロナ禍が明けて消費も少しずつ戻ってきている。生産者はことし高温・少雨で非常に苦労した。できる限り作付けしてもらって所得を上げてもらいたい」
会議ではこのほか近年、激甚化する自然災害に対する農家への支援の重要性などを改めて確認しました。