「ビンを手に取った瞬間に爆発」 ウクライナに多数の地雷や爆発物 “撤去”に10年以上も…
ロシアがウクライナ東部への攻勢を強めるなか、戦闘が行われていない場所でも、地雷や不発弾の危険と隣り合わせの生活が続いています。
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首都キーウ近郊のボロジャンカ。ロシアによる空爆で多くの人がなくなった集合住宅では、住民が部屋から、まだ使える荷物を運び出していました。
住民
「自腹でクレーンを予約して、家からモノを運びだしているんだ」
街の復旧のかたわらで、危険と隣り合わせの生活も続いています。
ロシア軍が占拠していたエリアでは――
末岡寛雄記者
「こちらの畑なんですが、ここに地雷が埋められているということで、いま地雷除去作業が行われています。畑との境には赤い杭がさされていて、ここから先は入らないようにと言われています」
この場所では、5万平方メートルにわたり地雷が埋められている可能性があるといいます。1日で作業できるのはわずか60~70平方メートルです。
地雷撤去担当者
「地雷はひとりで埋めることができますが、撤去するには大勢の人が必要です」
ウクライナ政府担当者は、国内の地雷や爆発物を全て撤去するのには、少なくとも10年かかるとの見方を示しています。
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こうした爆発物で大けがをする人も少なくありません。
西部リビウの病院に入院しているパウロさん(17)は、激しい戦闘が続く東部ドネツク州で被害にあいました。右手には包帯が巻かれ、腕には生々しい傷あとが残っています。
パウロさんが、ボランティアとして住民の避難を手伝う際に撮影した映像を見せてくれました。
パウロさん(17)
「わたしたちは避難を手伝っていました。休もうと座ったら、近くにビンのようなものがあって、このビンを捨てようとしたら、手に取った瞬間に爆発したんです」
太ももの血管を、手に移植する大きな手術を受けたほか、額にも破片による傷が残っています。膝の傷口を固定していたピンを抜く処置が行われ、動きにくくなっている右手のリハビリも毎日行っています。
手当てが必要なのは体だけではありません。担当医は「心のケア」も必要だと指摘します。
リハビリ担当医
「空襲警報が鳴るたびに、患者はとても怖がっています。その後、どんなことが起きるのか分かっているからです」
現在、比較的安全なリビウで治療に専念するパウロさんは、「静かな場所にいるのは、すごく不思議な気持ちです。向こうにいたときは砲撃の音になれてしまっていたから」と話します。
パウロさんの故郷・ドネツク州では、今も激しい戦闘が続いています。
退院のめどが見えないなか、パウロさんが今、願うのは――
パウロさん
「戦争が終わりますように。自分の家に帰れますように」
人々の生活を何年にもわたって脅かす地雷や不発弾は、ウクライナで深い爪痕を残しています。