ヘルソン州“解放”…反撃のウクライナ ロシア…戻った捕虜は「裏切り者」“処刑”動画
ヘルソン州の州都・ヘルソン市では13日、国歌を歌う市民たちが見られるなど、ウクライナ軍が市の中心部を奪還してから2日たっても、街は歓喜に包まれていました。ウクライナ兵は、街を解放した“英雄”となり、次々とサイン攻めにあっていました。
地元住民
「ウクライナ軍が来てくれて、とてもうれしい!」
「電気も、水も、電話も、インターネットも……暖房もないけど、何よりロシア軍がいない! 幸せだよ!」
ロシア軍車両も撤去されていきます。
ヘルソン州の状況について、ゼレンスキー大統領は13日、「226の集落で、安定や法の秩序が回復される」としつつ、地雷も多数残されていて「いまだ非常に危険な状況」だと警告しました。
そして、ロシア軍に占領されていた地域で400件を超える戦争犯罪が確認されたと明らかにしました。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領(13日公開のSNS)
「捜査官はすでに400件以上のロシアの戦争犯罪を記録しており、民間人と軍人の遺体が発見されている」
民間人も犠牲になったということです。
ウクライナではこれまでも「首都キーウ近郊や北東部ハルキウ州などで、ロシア軍による拷問や性暴力などの戦争犯罪があった」と国連委員会の調査で結論づけられていました。
ゼレンスキー大統領はSNSで「我々は殺人犯を1人足り残らず見つけ出し、必ず裁きにかける」と話しています。
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一方、ロシア側の兵士をめぐって、“残酷な情報”も明らかになっています。
ロシアの独立系メディアによると、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の兵士がウクライナで捕虜になった後、捕虜交換でロシアに戻ったところ、「裏切り者」としてワグネルに“処刑”されたといいます。さらに、その様子をおさめた動画まで公開されたというのです。
この兵士は、ウクライナで拘束されていた際、インタビューで今後は「ウクライナ側として戦う」と語っていたということで、“見せしめのため”殺害されたとみられています。
ワグネルの創設者で富豪のプリゴジン氏は、この動画について、「すばらしい演出だ」と賞賛したということです。
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一方、ウクライナ情勢は、カンボジアで開かれた東アジアサミットでも議論の中心となりました。
出席したロシアのラブロフ外相を前に、アメリカのバイデン大統領は「残虐で不当な戦争だ」と非難。岸田首相も「核兵器による威嚇は断じて受け入れられない」と批判しました。
ラブロフ外相は会議後の会見で「(共同声明が)採択されなかった。なぜならアメリカと西側諸国がウクライナ情勢をめぐり、(ロシアにとって)絶対に受け入れられない主張に終始したからだ」と主張しました。
ロシアと西側諸国の溝が埋まらぬまま続くウクライナ侵攻。戦争の出口は、全く見えていません。