【解説】“爆弾”と“サイバー”掛け合わせ ポケベル爆発は「前例のない攻撃」 “最強”諜報機関が関与か
中東・レバノンを拠点に活動する武装組織「ヒズボラ」の戦闘員が所持するポケベルらしき通信機器。17日、その約3000台が一斉に爆発しました。爆発の背景には、世界最強とも言われるイスラエルの諜報(ちょうほう)機関の一つ「モサド」が関与したのではとアメリカメディアなどが報じています。
藤井貴彦キャスター
「1度に3000台ものポケベルらしきものが爆発したということですが、それを気づかれずに爆破装置を仕掛けることはできるんでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「『ヒズボラが使うポケベルの製造会社をモサドが知っていて、爆薬を仕込めたのがポイントだ』とイスラエルの諜報機関に詳しい日本大学・危機管理学部の小谷賢教授は指摘しています」
「では、どのタイミングでモサドが爆薬を仕掛けたのかといいますと、大きく2つの可能性が指摘されています。まずは『製造段階で仕掛けられた可能性』。この会社がイスラエルの息がかかった製造会社で、そこでポケベルが作られていた場合は、製造段階で爆発物を仕掛けることが可能だといいます」
「2つめは『流通段階で仕掛けられた可能性』。このポケベル製造会社がイスラエルとまったく無関係の民間会社だとすると、製造段階で仕掛けるのはなかなか難しい。となると、ポケベルがヒズボラのところへ届けられる流通段階のどこかで仕掛けられた可能性が考えられるということです」
藤井キャスター
「どちらの段階にしても、『モサド』がそんなことをする力をもっている組織なんですか?」
小栗解説委員長
「モサドというのは世界最強の諜報機関とも言われていて、中東はもちろん、世界中の多くの国にスパイを送り込んで諜報活動をしているというんです。なので、ポケベルがヒズボラの拠点であるレバノンに搬入される前に国外で仕掛けることも『モサド』なら可能だといいます」
「また、小谷教授はポケベルを爆発させた点について、『モサドの2つの得意分野を結びつけた攻撃だった』と指摘しています。この得意分野というのがなにか。『爆弾による攻撃』、そして『サイバー攻撃』だということです。これまでそれぞれを単体で使うことはありました。でも今回は爆発物を仕掛けたポケベルを配布して、遠隔操作でこれを爆発させるという爆弾とサイバーを掛け合わせたもので、これは『前例のない攻撃だ』ということです」
(9月18日放送『news zero』より)