開幕まで2週間 北京五輪の盛り上がりは?
北京冬季五輪開幕まで、21日であと2週間。中国はウインタースポーツ大国を目指し、あの手この手で盛り上げようとしてきました。五輪開催への熱気は、どこまで高まっているのでしょうか?
◇
中国南部・湖南省にある屋内スキー場を取材しました。この巨大な施設は鉱山の跡地を利用して、地下深くに造られました。
記者
「見てください、このように周りは、雪山のイラストで囲まれているんですね」
壁一面には、アルプス山脈が描かれ、アルプスの村をイメージしたという町並みが再現されています。そして、屋内のスキー場でありながら、ゴンドラリフトも備えています。
中国・長沙市は、日本の奄美群島とほぼ同じ緯度にあり、雪はほとんど積もらない場所です。
スキーに来た客
「雪を見られて、とてもうれしいです」
スキーに来た客
「SNSではやってるでしょ?友達もたくさんここで写真を撮っていたので」
このため、ゲレンデで目立つのは初心者の姿です。その格好をよく見ると――
記者
「あの女性、お尻に何でしょう、亀をつけてますね。この人は、お尻にクマのぬいぐるみみたいなのをつけてますね」
転んだときのクッションとして、お尻にぬいぐるみをつけていました。
◇
冬のスポーツとは無縁だった人も多い中国。卓球やバスケットボールが人気を集める一方、冬のスポーツに触れる機会が無く、関心は一向に高まりませんでした。この状況を変えようと号令をかけたのが、習近平国家主席です。
習近平国家主席
「中国のウインタースポーツ人口を3億人に増やす」
北京オリンピック招致の際に公約を掲げ、“ウインタースポーツ大国”を目指して突き進んできたのです。
今や、屋内外のスキー場は、中国全土で800か所以上に急増しました。ショッピングモールでは、アイスホッケー場が新たに造られ、子供たちの練習場として使われていました。
さらに、各地の小中学校で冬スポーツの授業が導入され、冬のオリンピックにちなんだ展覧会も各地で開かれています。会場には小学生が授業の一環として見学に訪れていて、壁には習主席の写真とともに「3億人」のスローガンが強調されていました。
そして、オリンピックが目前に迫った12日、中国政府は「冬スポーツの人口が3億4000万人を超え、習主席の公約が実現した」とする調査結果を発表しました。
力業で冬スポーツを盛り上げようとする中国。しかし、今回のオリンピックでは、新型コロナウイルス対策のため、一般のチケット販売は中止。開幕まで2週間に迫る中、北京市民からは、今なお、冷めた声も聞かれました。
北京市民
「新型コロナもあるので、2008年の北京オリンピックほど盛り上がっていません」
今回のオリンピックが、冬スポーツの人気を高める起爆剤になるのかは不透明です。