バイデン氏「生産的な議論」成果は? 散歩で“親密さ演出” 米中首脳会談 両国の思惑
アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席が15日、首脳会談を行い、焦点となっていた軍同士のハイレベル対話などを再開することで合意しました。サンフランシスコから中継です。
--今回の首脳会談は、アメリカの狙い通りだったのでしょうか。
バイデン大統領にとっては「とれるものはとった」会談だったといえます。まず会談の最重要課題と位置づけていた、軍同士の対話の再開で合意しました。
またバイデン大統領が、会見で成果として最初にあげたのは、合成麻薬「フェンタニル」などの薬物取締での協力再開でした。今、アメリカでは中国が原材料の製造国であるフェンタニルの過剰摂取で亡くなる人が急増していて、大きな社会問題となっています。
来年に大統領選を控える中、国内向けへのアピールにもなった形です。バイデン大統領は会見で「建設的で生産的な議論だった」と手応えをにじませました。
--両首脳が散歩する場面も世界中に配信されたものと思われますが、融和をアピールする演出だった?
今回、米中両国は首脳会談での「見せ方」を強く意識していました。アメリカメディアも、中国側が習近平主席の座る位置からカメラアングル、飾る花や食事までこだわり、米中両国が膨大な議論をして決めたと報じています。両首脳の親密さをアピールする演出として両国の思惑が一致したといえます。
--米中関係は改善に向かうのか
ワシントンの複数の外交筋が、今回の会談について「首脳同士が会うことが成果」として期待値を低く設定していました。軍同士の対話の再開も途絶えていた対話が正常化するというマイナスがゼロに戻ったと言う状態です。
今回の会談は、いわば「ダメージコントロール」で、アメリカメディアからは「米中をより危険なライバル関係へと駆り立てる根本的な要因を緩和することはほとんどないだろう」「両国の対立の根本が変わるわけではない」との指摘が出ています。