北京五輪まで3日…各国大使館“盛り上がり”に差 衆院では「対中人権決議」採択
3日後に開会式が行われる北京冬季オリンピックは、外交ボイコットをめぐり各国の対応が分かれています。こうした中、日本の国会では1日、中国の人権状況などについて懸念を示す決議が採択されました。一方の中国は、大会の成功をアピールしようと必死の外交攻勢に出ています。
◇
先月31日、冬季五輪の開幕を間近に控えた北京で、ロシア大使館を訪ねると、壁にはオリンピックの展示がされていました。
プーチン大統領が開会式に出席する予定のロシアは、中国と連携する姿勢を示すことも多く、大使館もムードの盛り上げに一役買っています。
スロバキアの大使館の壁もオリンピックで盛り上がっていました。
その一方で、アメリカやカナダなど“外交的ボイコット”を行う国の大使館にはポスターなどはなく対照的です。
外交的ボイコットは、中国による新疆ウイグル自治区での深刻な人権侵害などを理由に政府関係者を派遣しないことで、アメリカのほかイギリスやカナダ、オーストラリアなども表明しています。
これに対抗するため、中国政府はさまざまなアピールを行っています。中国外務省は北京オリンピックの特設ページで、「エクアドルの外相は『北京オリンピックが歴史に残ることは疑いの余地がない』と言った」という発言や、「キプロスのオリンピック委員会は『スポーツの政治問題化に断固反対する』と述べた」など世界各国からの声を紹介しています。
さらに、国営メディアでは、新疆ウイグル自治区の人たちが国旗を掲げ、中国の代表選手にエールを送る映像などを紹介するなど、中国は、世界各国、そして新疆ウイグル自治区の人々からも開催を支持されているとアピールしています。
◇
日本政府は外交的ボイコットとは明言しないものの、政府関係者の派遣を見送ることにしています。
そして、衆議院本会議では1日、新疆ウイグル自治区などでの人権侵害に懸念を表明する、いわゆる「対中人権決議」が採択されました。中国を名指しで批判することは避けましたが、国際社会が納得する形で説明責任を果たすよう強く求めています。
また、中国の一方的な現状変更に対抗する動きもあります。
中国が海警局に武器使用を認める海警法を施行して、1日で1年になりますが、尖閣諸島を行政区域に持つ石垣市は先月31日、大学の調査船で魚釣島などを視察しました。
調査船を追って領海に侵入した船首に赤いラインの入った海警局の船と、それを近づけさせないよう周囲を固める青いラインの入った海上保安庁の巡視船が、にらみ合っていました。
2012年の日本政府による国有化以降、石垣市がこのような視察を行ったのは初めてのことです。
中国では現在、春節の休暇期間に入っていて、国会での決議や石垣市の視察について公式の反応は今のところありません。