反政府デモが続くエジプトで、ムバラク大統領が１日、次の大統領選挙に出馬しないことを表明した。しかし、市民側は納得しておらず、事態が収束するかどうかは依然不透明となっている。

　ムバラク大統領は１日、テレビでの会見で「今の状況にかかわらず、次の選挙に立候補する気はありませんでした」と述べ、９月に予定される次の大統領選挙には出馬しないことを表明した。その上で、大統領選挙までは職にとどまり、民主的な選挙のための環境作りを行う考えを示した。ただ、強権政治が人々の怒りを招いたことへの謝罪はなく、「何が正しかったかは歴史が証明する」と述べた。

　この内容に反政府デモの参加者は反発している。デモの参加者の一部は、ムバラク大統領が辞任するまで、抗議活動を続けるとしている。また、エジプト第２の都市・アレクサンドリアでは、会見直後に、大統領を支持するグループとデモ隊との激しい衝突が起きた。ムバラク大統領が今期限りでの引退という最後のカードを切ったにもかかわらず、事態は流動的で、混乱が収束する見通しは立っていない。