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「戦争の第二段階」ロシア軍が東部で新たな攻撃を開始か…市民は

2022年4月19日 19:50

ウクライナのゼレンスキー大統領は、「ロシア軍が東部ドンバス地方への新たな攻撃を開始した」と明らかにしました。ウクライナ大統領府の長官も「戦争の第二段階が始まった」としていて、ロシアにより、戦況は新たな局面を迎えています。

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日本時間19日、ゼレンスキー大統領の国民向けの演説が、大統領のTelegramに公開され、ロシア軍が東部ドンバス地方への新たな攻撃を開始したことを明らかにしました。

ウクライナ ゼレンスキー大統領
「ロシア軍はドンバスの戦いを開始した。彼らが長期間準備してきた戦いだ。どれだけロシア兵士が送り込まれても、我々は戦い自衛を続ける」

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も、「ロシア軍が東部ドネツク州とルハンシク(ルガンスク)州全域の攻略を目指すとみられる大規模な攻撃作戦を開始した」と分析しています。

18日に公開されたドネツク州の最前線のウクライナ軍の映像では、兵士がロシア軍に対抗する準備は整っていると語りました。

ウクライナ兵
「彼ら(ロシア軍)はここに入ってきたら、永遠に戻ることはない。ここに残る(埋葬される)ことになる」

ルハンシク州のガイダイ知事は「昨夜はやはり砲撃、攻撃、空爆の数がかなり増えました」と述べる動画をFacebookに公開しました。また、ガイダイ知事によると、ロシア軍の攻撃でルハンシク州のほぼ全域で停電しているということです。

ただ、ウクライナ国防省は、2つの州でロシア軍に反撃していて、戦車10台などを破壊したと発表しました。

ウクライナ国防省報道官
「敵の迫撃砲を兵士とともに破壊しました」

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首都キーウ(キエフ)とその周辺へのミサイル攻撃も増えています。日本時間19日午前3時すぎにも、空襲警報がなっていました。

キーウ陥落に失敗したロシア軍の東部への新たな攻撃について、市民に聞きました。

キーウ市民
「ウクライナ軍を信じています。我々は勝利する。みんなが自信を持っています」

キーウ市民
「私は東部の出身です。攻撃で人命が失われました。言葉がみつかりません」

ウクライナの大統領府の長官は、東部への攻撃について「戦争の第二段階に入った」と新たな局面に入ったとの認識を示しています。

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南東部マリウポリでは、ロシア軍の包囲が続いています。

その“最後の砦”となっているアゾフスタリ製鉄所では、19日、爆発音が響いていました。

マリウポリの治安組織「アゾフ連隊」がSNSに公開した映像では、製鉄所の地下シェルターとされる場所に、多くの子供や女性たちの姿がありました。

避難する人
「我々はすべてを奪われて、せめて命ぐらい残してください。我々、もう年とってるけど、子供たちは成長して生き残ってほしい」

いまも1000人以上の女性や子ども、高齢者らが避難しているといいます。

ロシア国防省は19日、ウクライナ側の部隊に対して、「日本時間午後6時から投降に向けた接触を開始する」と明らかにしました。そのうえで、日本時間午後8時から10時の間に退去するよう求めています。

ロシア国防省は、また、「一晩でウクライナの1260の標的を攻撃した」と発表しました。攻撃の数は前日から4倍近く増えていて、今後、戦闘はさらに激しくなるとみられています。