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二重被爆者・山口彊さんの映画上映 英国

2011年8月17日 19:09
二重被爆者・山口彊さんの映画上映 英国

 広島と長崎で2度被爆し、去年に93歳で死去した山口彊さんの生前の思いをつづった映画が16日、イギリス・ロンドンで上映された。上映は、BBCが去年、お笑いクイズ番組で「世界一運が悪い男」と紹介した問題を受けて行われた。

 上映されたのは、山口さんの証言などをまとめたドキュメンタリー映画「二重被爆 語り部 山口彊の遺言」で、ロンドンでの上映は、日本・イギリスの交流団体が協力して行った。監督した稲塚秀孝さんが「山口さんが生きていたら、核兵器の恐ろしさや原爆症の痛みをイギリスの皆さんにもぜひ伝えるべきだと言うだろう」と考え、上映会を実現させた。

 「平和の大切さ、命の尊さについて考えてください」などと、死去直前まで語り部として二重被爆の体験を伝え続けた山口さんの肉声が字幕付きで伝えられた。イギリス人観客からは「実際に体験した話は歴史で学んだことと重みが違う」「戦争の被害に遭うのはいつも無実で力のない市民だ」といった声が聞かれた。

 上映後、挨拶した稲塚さんは「山口さんは講演の度に、あなたたちにバトンを渡すと言っていた。『核兵器をなくしたい』という山口さんから託されたバトンを、皆でつないでいきましょう」と語りかけていた。