「パパ戻ってくるよ」「パパをたたかないで」……一家離散、泣き叫ぶ子ども 警察官の父はロ軍との戦いへ “市街戦”激化か
ロシアからの攻撃が続く、ウクライナの首都近郊の街。生活インフラや橋が破壊され、細い木の板を渡って大勢が避難しています。逃れる人も銃撃され、犠牲者が相次ぎます。ロシアのプーチン大統領がいら立ち、市街戦が激化するとの見立てもあります。
■橋「破壊」で…木の板を渡る高齢者
ウクライナの首都キエフ近郊、イルピン。8日は絶え間なく発砲音が聞こえ、市民がひしめきあっていました。
攻撃で橋が壊れたため、人々は細い木の板の上を歩き、街から逃れようとしていました。兵士らに支えられながら渡る高齢者の姿もありました。
イルピン市民
「イルピンは絶えず砲撃されています。電気を遮断されました。光がありません。暖房も水もありません。何もありません」
■ロシア軍、避難のバスや車を銃撃
イルピンではロシアからの攻撃が連日続き、子どもを含む何人もが命を落としています。
8日、道にはスーツケースと血痕が残っていました。
ボランティア
「脱出しようとしていた家族の物です。妻、夫、2人の子どもと、あと何人かいました。みんな銃撃されて、全員一緒に殺されたんです」
別のボランティア
「ロシア軍はここから人々を避難させようとしていたバスや車を、撃っていました。民間人を撃っていました。ひどすぎる」
■家族離れ離れに…泣き叫ぶ子ども
ロシア軍との戦いに立ち向かう人々もいます。
イルピンでは8日、警察官の父親を残し、避難するという家族の姿がありました。子どもが泣き叫び、抱っこする父親を何度もたたいています。
父親は「ほら見て見て、お菓子だよ。取って取って」とあやしました。涙する母親は「パパ戻ってくるよ。パパをたたかないで」と言いました。
■ウクライナ軍「せん滅」狙いか
ウクライナのゼレンスキー大統領は、8日のイギリス議会でビデオ演説しました。議場ではスタンディングオベーションが起きました。
ゼレンスキー大統領
「どんな犠牲を払っても、私たちのウクライナのために戦い続けます」
一方、ロシアのプーチン大統領はどのような胸の内なのでしょうか。
アメリカのバーンズCIA長官は8日、「プーチンは今、怒りといら立ちを感じているのだと思う。彼は民間人の犠牲を顧みず、攻撃を倍増してウクライナ軍をせん滅しようとしている」と分析しました。
今後数週間、ロシア軍が攻勢を強め、市街戦はさらに激しくなる可能性があると警告しました。
(3月9日『news zero』より)