×

局長級協議控え…北朝鮮・平壌から記者中継

2014年6月26日 17:59

 北朝鮮が約束した拉致被害者らの全面調査をめぐり、日本と北朝鮮は来月1日に中国で局長級の協議を行う。日朝交渉について現地ではどのように受け止められているのか、北朝鮮・平壌から玄昶日記者が中継。

 3日前に北朝鮮に入ったが、日本との協議についてこちらの国民も大きな関心を寄せている。

 平壌市民「国交が正常化すれば近い国がさらに近くなるし良いと思う」

 別の平壌市民「私たちには歴史的な反日感情がある。日本は過去への補償を行い、反日感情をなくす取り組みが必要だ」

 来月1日に北京で日朝協議が開かれることは、こちらではまだ報じられていないが、市民の中には「国交正常化まで進むでしょうか」と尋ねる人がいる一方で「関心があるのは拉致問題だけではないのか」と安倍政権への不信感を口にする人もいて、期待と疑念が入り交じっているといった印象だ。

 ●北朝鮮政府は、今回の調査にどう取り組もうとしているのか?

 北朝鮮は日朝の合意を国営テレビで報道し、国民に大きく知らせた。政府にとっては都合の良くないこともオープンにしたことから、金正恩政権の“本気度”が伝わってくる。こちらには、まもなく終戦前後にいまの北朝鮮で亡くなった日本人の墓参りをする遺族が到着する。日朝の合意では亡くなった日本人の遺骨や墓地についても調査を進めることになっている。このタイミングで慰霊団を受け入れることで、問題の解決に積極的な姿勢をアピールするものと見られる。

 ●一方で、北朝鮮の狙いはどこにあるのか?

 経済の立て直しが念頭にあるものと見られる。調査をしっかり行えば、一部の制裁が解除され、人の往来や人道目的の船の入港が可能になる。25日、日本海側に面した元山を取材したが、港には万景峰(まんぎょんぼん)号が停泊していた。修理を終えたばかりということで、船の表面はきれいに塗装されていた。日本側は万景峰号は「人道目的の船」には含まれないという立場だが、北朝鮮側は今後の協議で万景峰号の入港を認めるよう求めるものとみられる。元山では観光施設の整備が行われていて、関係者は外国人観光客を受け入れたいと話していた。

 とはいえ、経済の立て直しは簡単ではない。交渉の末に日本との国交正常化が実現すれば多額の経済協力が得られ、北朝鮮としてはこれを見据えているものと見られる。