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“1500人の戦闘員”遺体発見か…ハマス「イスラエル人の人質を処刑する」と警告 現地から緊急帰国した邦人は…

2023年10月11日 6:05

ミサイル攻撃などの応酬が続くイスラエル軍とイスラム組織「ハマス」。ハマス側は「人質を処刑する」と警告するなど、緊迫が高まり続けています。
10日夜、私たちは、イスラエルから避難してきた日本人男性を取材しました。見せてくれたスマホには、現地の友人からの悲痛なメッセージが…。

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10日夜、成田空港に到着したのは、戦闘が続くイスラエルから、ドバイ経由で緊急で帰国した日本体育大学の岡田隆教授です。

空港のゲートを出てきて、語ったのは――

イスラエルから緊急帰国 日本体育大学 岡田隆 教授
「(イスラエルの)テルアビブから(の航空券)。これが、ドバイから成田(までの航空券)」
「本当に安心できた、というところですね。(ドバイ行きの)飛行機の中で着陸が決まった瞬間に、自然とみんなが拍手をしていた」

大規模攻撃が始まった7日午前9時頃、岡田教授が撮影した映像には、大きな爆発音が…。午後8時すぎになっても、爆発音が響き渡っていました。

当時の状況について、(最初は)爆撃をお祝いの空砲だと思ったと話しました。スマートフォンには、イスラエルの人が使っているという“警報アプリ”を入れているといいます。

岡田教授
「朝、爆撃が鳴ったときに、何かをお祝いする空砲なのかと思った。そしたら、サイレンが鳴っていたので」
「この警報アプリがバンバン鳴って、これ(この音)は空砲じゃないんだと(わかった)」

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大規模攻撃から10日で4日目。今も、イスラエル軍と、パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」との激しい武力衝突が続いています。

イスラエル軍の報道官は先ほど、「ガザ地区周辺のイスラエル領内で、約1500人のハマス戦闘員の遺体を発見した」と発表しました。

これまでの死者は、パレスチナ側の保健当局はガザで少なくとも770人、イスラエル側で約900人と発表していて、新たに見つかった1500人の遺体は、ここに含まれていないとみられます。

また、イスラエル軍は10日、「ハマスの戦闘員が侵入した『ガザ地区』周辺を完全に掌握した」と発表しています。

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命の危険を感じ、緊急で帰国することを決めた岡田教授が10日夜、見せてくれたのは、イスラエルの友人から届いたメッセージです。

友人からのメッセージ
「ここのところ辛い日が続いている。6人の警察官と軍人のよい友達が殺されてしまった」

岡田教授
「だからぼくらも(襲撃を受けた場所に)いたら、やられてたんだろうなと。日本人だから大丈夫、ということは一切なかった」

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ハマスは、イスラエル側から、多くの民間人や兵士を拉致して、人質にしています。
「空爆が続けば、イスラエル人の人質を処刑する」と警告しました。

人質の中には、7日、イスラエル・レム近郊で行われていた“音楽フェス”に参加していた若者たちもいるとみられています。

“音楽フェス”の会場付近にあった車の車載カメラが捉えていたのは、ハマスの兵士の姿です。銃を突きつけて、何かを訴えた相手は……フェスの参加者。そのまま、連行していきました。

参加者の中には、藪の中で8時間もの間、身を隠したという女性もいました。女性はその後、無事に保護されました。

イスラエル人女性
「いまだに何人の友達をなくしたのか、わかりません……いったい何が起きているのか。みんなは、生きているの?」

「ハマス」の拠点がある「ガザ地区」で7日に撮られた動画には、車の荷台に乗った、人質とみられる女性の姿が――。両手を後ろで縛られ、強引に後部座席に移動させられています。女性は腕から血を流し、裸足なのが分かります。

イスラエルの国連大使は、現在、「ハマスに捕らえられている人質が150人いる」と主張しています。(※中東メディアによる)

専門家は、長年対立してきたなかでも、これだけの人質をとることはなかった、と話します。
その狙いは――?

中東情勢に詳しい 現代イスラム研究センター 宮田律 理事長
「これだけ大勢の人質をとるのは、異例中の異例」
「イスラエルの攻撃を妨げる目的があって、大勢の人質をとった。ハマスとイスラエルの軍事力は、雲泥の差がありますから。相当な火力で、イスラエルが報復してくる、と考えたんでしょう」

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こうしたなか、イスラエルのガラント国防相は、「ガザ地区」への電気・食料・水・燃料を遮断し、完全封鎖するように命じ、イスラエル軍は、異例の規模の30万人の予備役を招集すると発表しました。

この動きについて、専門家は……

中東情勢に詳しい 現代イスラム研究センター 宮田律 理事長
「地上侵攻があるぞ、パレスチナ人を追い出すぞというサイン」

――地上侵攻になれば、大規模な戦闘になる?

中東情勢に詳しい 現代イスラム研究センター 宮田律 理事長
「イスラエルの火力はすごい。ハマスみたいな武装組織だったら、簡単に吹き飛ばされてしまうような火力を持っています」

国連は「ガザ地区」の状況について、イスラエル軍の攻撃により18万人以上が家を失うなどして、避難を余儀なくされているとしています。

■今後気になるのは「原油や空路での輸送への影響」や「アメリカの動き」

有働由美子キャスター
「そしてこれは、現在の『ガザ地区』の様子ですけれども、街に黒煙が高くあがっているのがわかります。落合さん、この一連、どう見ていますか」

メディアアーティスト 筑波大学准教授 落合陽一さん
「問題があることも、くすぶっていることも、世界中みんな知っていましたが、突然こんなことが起きるというのは、誰も予想していなかったと思います。それは当事者であるイスラエルから、あれだけの犠牲が出ていることを鑑みても、そうだと思うんですけれども…」

「ここからの展望では、たとえば原油の供給への影響や、航空機などの輸送への影響も気になっていますが、特に、すでに支援する姿勢を見せているアメリカの動きによって、これから事態がどれだけ大きくなるのかというところが、一番気になっています」

有働キャスター
「落合さんがおっしゃったように、空路っていうのは、いま、ロシア上空も飛べないですし、ここも…となると、そのあたりが大きな影響が出てきますよね…」

落合陽一さん
「はい。そうすると、ちょうど間の狭いところを飛んでいくことになると思いますが、他の国が無事に巻き込まれなければ…」

(10月10日放送『news zero』より)