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米国のキューバ政策の転換 その狙いは?

2014年12月18日 13:04

 アメリカ政府は17日、1961年から断交状態にあるキューバとの国交正常化へ向けた交渉を開始すると発表した。アメリカによるキューバ政策の転換には、どのような狙いがあるのか。ワシントン支局・近野宏明記者が報告する。

 1つ目は経済的な動機だ。キューバは近年、市場主義経済を一部導入するなど、経済改革にも取り組んできた。しかし、対立関係のままではアメリカがキューバの成長を取り込むことは出来ない。このため、経済界などから関係の見直しを求める声も上がっていた。

 2つ目は任期が残り2年となったオバマ大統領の「歴史的成果」を狙ったということだ。終わりの見えない「イスラム国」との戦いが続くなど、外交上の成果に乏しいオバマ大統領にとって、キューバとの国交正常化が実現すればそれは歴史的な足跡となる。

 ただ、ネックになるのはアメリカ国内の政治状況だ。キューバへの制裁の完全解除には議会の同意が必要だが、多数を握る野党・共和党の議員らは早くも「キューバは独裁国家だ」「アメリカが得るものはキューバの半分にすぎない」などとして制裁解除に反対する構え。

 ホワイトハウスの報道官も「時間がかかるかもしれない」と弱気を見せている。反対勢力を押さえながらどう国交正常化交渉を進めるのか、これからがまさに正念場だ。