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“ナッツ事件”初公判 航空保安法巡り対立

2015年1月19日 17:24

 ナッツの渡し方に激怒し、航空機を引き返させた大韓航空の前副社長に対する初公判が19日、韓国・ソウルで開かれた。裁判では、航路の変更での航空保安法の適用を巡り、主張が対立した。ソウルから高井望記者が中継。

 裁判は19日午後2時半に始まった。入廷した大韓航空の前副社長・趙顕娥被告はうつむいたまま裁判官に一礼し、裁判官の「職業は」との質問に「無職です」と小さな声で答えた。

 趙被告は先月、乗務員のナッツの出し方に激怒し、無理に航路を変更させた「航空保安法違反」や、国土交通省の調査を妨げた「偽計公務執行妨害」などの罪に問われている。検察側は起訴状を朗読し、趙被告が飛行機を止めるよう要求すると、サービスの責任者は、すでに滑走路に向かっていて止められないと説明。趙被告は「誰に口答えしているんだ?止めろと言っただろう」などと指示し、飛行機を無理に引き返させたと主張した。

 これに対し、弁護側は意見陳述で、被告は「多くの関係者に被害を与えたことを、心から反省している」としながらも、地上である滑走路は航路ではないとして、航路を無理に変更させた罪は成立しないと反論した。また、サービス責任者などにウソの供述をさせるよう指示したことは全くないとして、国土交通省の調査を妨げた「偽計公務執行妨害」などの罪についても否認している。

 今後、裁判は、最も刑が重い「航空機航路変更罪」が適用されるかどうかが焦点となる。滑走路が「航路」と言えるかどうかで主張が対立しているが、さらに弁護側は「趙被告は飛行機が動き出していたことは知らず、故意性も明確でない」と主張している。今後、趙被告の認識などが焦点となりそうだ。