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米・ミシェル夫人の“女子教育支援“

2015年4月3日 17:25
米・ミシェル夫人の“女子教育支援“

 先月、日本を訪問したアメリカ・オバマ大統領夫人のミシェルさん。安倍首相夫人・昭恵さんとともに、学校へ通えない女の子たちへの支援にアメリカと日本が協力することを発表した。坂井英人記者がミシェルさんの女子教育支援について取材した。

 先月18日、羽田空港に到着したアメリカ政府の特別機。そこから出てきたのは、鮮やかな黄色のドレスをまとったミシェル夫人だ。長時間のフライトを感じさせない軽やかな足取りだ。これがファーストレディーとしてだけではなく、生涯初の日本訪問となった。到着から一夜。安倍首相夫人・昭恵さんとともにミシェル夫人が現れたのは、大勢の若者たちが待つ会場だった。この集会のテーマは「教育」だ。

 ミシェル夫人「私にとって教育とは、人生の様々な機会のまさに出発点でした。しかし、世界中には同じようにかしこく、能力があり、成功を望んでいるのに、学校へ一生通えない女の子たちが大勢いるのです。これは人間の潜在能力の大きな無駄遣いであり、私たちの世界にとっての大きな損失です」

 昭恵さん「途上国のひとりひとりに生きる力を発揮させる強い決意を持った支援を行っていきます。日本の支援は若い女性の未来への可能性を紡ぎます」

 日米のファーストレディーが女子教育の重要性を訴える。そして、その具体策として“日本の青年海外協力隊”と、そのモデルとなったといわれるアメリカのボランティア団体“平和部隊”が協力し、問題に取り組むことを発表しました。“女子教育への支援”。これは、ミシェル夫人が日本訪問の2週間前に、立ち上げたプロジェクトだ。世界に6200万人いるとされる学校教育を受けられない発展途上国の子どもたち、とりわけ女の子の支援に力を注ぐ決意を示した。

 ミシェル夫人「今回の訪日では、まず女子教育への我々の情熱を共有し、この取り組みへの協力を望んでいる安倍昭恵夫人を訪ねます」

 その取り組みのパートナーとしてミシェル夫人が選んだのが、同様に教育に関心をもつ昭恵さんだった。ミシェル夫人は、シカゴの貧しい黒人居住区で生まれましたが、懸命に働く両親から高い教育を施された。名門プリンストン大学、ハーバード法科大学院へすすみ、弁護士資格も取得。自らの人生を切り開いてきた。教育を受ける大切さを身をもって経験している。途上国への教育支援を行ってきたアメリカの国際開発庁も、ミシェル夫人の取り組みに期待を寄せている。

 米・国際開発庁のスーザン・マーカム上級調整官「日本政府のような強力なパートナーに呼びかけることで、思春期の女子の教育問題に取り組む範囲は拡大するでしょう」

 途上国における女子教育の重要性。現場で支援活動を行っているNGOもこう訴える。

 国際NGO・プラン・ジャパンの山形さん「親は、自分の子供は将来家を出てしまうので、『娘に教育を受けさせても無駄』と思ってしまう」「教育も受けず、字も読めない状態で母親になった場合、例えば薬をもらってもラベルに書いてある字が読めないので、子供の健康を守ることも難しい」

 このNGOは、女の子の3人に1人しか中学校へ進めないというカンボジアで学校の給食の提供や女子用のトイレの整備など様々な活動を行っている。

 山形さん「女の子が教育を受けられるようになると、その成果は女の子一人にとどまらず、地域社会や世界全体の発展につながる」

 ミシェル夫人は日本の後、カンボジアを訪問。さっそく、地元の学生らと女子教育について意見を交わした。

 ミシェル夫人「女の子達が教育を受けて、読み書き、考える力がつけば、それは声をあげる道具となります」

 ファーストレディー外交で女子教育の普及にむけた日米協力の枠組みを立ちあげたミシェル夫人。新たな取り組みは、途上国の学校へ通えない女の子たちにとって明るい希望となるのだろうか。