「とても怖かった」ロシア国営放送で反戦訴えた女性“解放” 14時間以上も尋問か
ロシア国営放送で反戦を訴え、ロシア当局に拘束されていた女性が15日に解放されました。ただ、罪に問われたのはSNSでデモ参加を呼びかけた行為で、反戦を訴えたことはまだ罪に問われておらず、彼女は「自分の安全がとても心配だ」と語っています。
◇
14日、ロシア国営放送の「第1チャンネル」というニュース番組の生放送中に、「戦争をやめてください!」と反戦を訴えたスタッフ、マリーナ・オフシャンニコワさんは、日本時間16日夜に配信された動画で、「『ロシア人は戦争に反対している』と世界に伝えたかったんです」と語りました。
マリーナ・オフシャンニコワさん
「自分のしたことには自信を持っています。しかし、これから大きな問題に直面しなくてはいけません。自分の安全がとても心配です」
「とても怖かったです。言葉で表現できないくらい怖かったです」
ニュース番組の放送後、ロシア当局に拘束されていましたが、裁判に出廷した後、解放されました。
マリーナ・オフシャンニコワさん
「全て私自身の反戦の意思です」
尋問は、14時間以上続いたといいます。
ただ、罪に問われたのは、テレビで反戦を訴える前に「SNSでデモ参加を呼びかけていた行為」で、約3万円の罰金が科されました。
テレビで反戦を訴えたことはまだ罪に問われておらず、今後、プーチン政権が行った法改正によって、最長15年の禁錮刑を科される可能性もあります。
マリーナ・オフシャンニコワさん
「自分をヒーローのように感じることはありません。この犠牲的な行動が無駄でなかったと信じたいし、(ロシアの)人々の目が覚めることを望んでいます」
改めて、ロシア国民に反戦を訴えました。
◇
そして、ウクライナの内務省が14日、捕虜となったロシア軍兵士とされる軍服姿の男性5人が会見を開く映像を公開しました。
捕虜となったロシア軍兵士とされる男性
「私たちは最後まで、『ロシア国内での演習だ』と言われていました。私たちはだまされたのです」
「ロシア軍にだまされた」といい、去年6月に徴兵され、ウクライナに送り込まれた時点で、兵役期間はわずか8か月だったといいます。
男性
「我々と一緒に62台の戦車が(ウクライナに)向かっていましたが、結局、到着したのは16台だけです。ロシア軍が負けているのは明らかです」
5人の男性は、自分たちの意思で会見を行っているといい、「全世界に真実を語りたい」と話しました。
男性
「ここでは、民間人や子どもたちが命を落としています。お年寄りも命を落としています。何の罪もない人が、プーチンのせいで命を落としています。プーチンはうそつきです」
「ロシアの皆さんに、とくに兵士の親に言いたいことがあります。子どもたちをウクライナへ行かせないでください」
「戦争なんかいらない。戦争は何の意味もないです」
ロシア軍兵士の訴えは、プーチン大統領に届くのでしょうか。
◇
国内外で反戦の行為が注目される一方、プーチン政権が公開したのは、教育省が制作した子ども向けの教育動画です。
ウクライナをテーマに、女の子の疑問を大人が答えていきます。
女の子
「兄弟のようなウクライナの人々と、いつからこんなことになったの?」
司会者
「ウクライナ危機が始まったのは、最近のことではありません」
「ロシアは住宅や民間人を攻撃していない」として、ウクライナの被害状況はフェイクニュースだと強調します。
司会者
「『ミサイルが幼稚園に当たった』、『戦車や飛行機が攻撃された』、その情報をSNSに投稿する前に、情報源の信ぴょう性を確かめるべきです」
女の子
「これからは全部確かめます」
動画は約30分で、プーチン政権の主張を浸透させる狙いがあるとみられています。
(3月16日放送『news zero』より)