春節の裏で――“震源地”武漢は「監視」今も 「ずっとついてくる…」変装してまで尾行 SNSで波紋…デモ参加で次々逮捕
中国が旧正月「春節」を迎えました。東京では中国本土からの旅行客は少ないものの、現地は人の姿が戻っていました。一方、新型コロナウイルスの集団感染が初確認された武漢では監視が続き、SNSではデモ参加者が次々逮捕されたとして波紋が広がっています。
■団体旅行の解禁なく…中国客少なく
中国の旧正月「春節」を迎えて、最初の平日となる23日。東京・上野のアメ横を訪ねると、アジア系とみられる観光客がイチゴを食べていました。
新型コロナウイルス感染拡大前はこの時期、中国から多くの旅行客が訪れていましたが、中国料理店の店員は「中国の人は(ほとんど)いませんね」。その姿はほとんど見られませんでした。
中国が日本への団体旅行を解禁していないことなどが背景にあります。中国の両親が日本に行きたがっているという中国人留学生は「(入国時の)PCR検査とか、めんどくさいと思っちゃったから。入国制限とかなかったら両親も日本に来たり(できる)」と言います。
■銀座でも…香港や台湾の観光客の姿
かつて中国からの「爆買い客」でにぎわった銀座を訪ねました。
ブランド店で300万円以上するエルメスのバッグを購入していたのは、台湾からの旅行客でした。店長は「今は香港、台湾のお客様を中心に来られている状況ですね」。中国本土からの旅行客は依然少なく、入国時の制限がほぼない香港や台湾からが多いといいます。
■8割感染か…「第二波の可能性低い」
22日に春節を迎えた中国・河北省。午前0時ごろ、春節を祝う花火が至る所で上がりました。取材したこの場所は政府によって花火や爆竹が禁止されていますが、「花火をしないなんて正月の雰囲気が味わえないよ」という声が聞かれました。
4年ぶりに行動制限のない春節。北京の有名な寺には初詣のための長い行列ができるなど、各地に人の姿が戻っていました。春節の大移動で新型コロナの感染拡大の恐れもあります。
そんななか、中国政府の専門家は「これから2~3か月は第二波が来る可能性は低い」と21日の投稿で指摘しました。理由として「人口の約80%がすでに感染した」との見方を示し、人口約14億人のうち11億人以上が感染した可能性があるといいます。
また中国の衛生当局は、1月13日からの1週間で新型コロナに関連し、1万2658人が亡くなったと発表。昨年12月8日以降、ゼロコロナ政策緩和後の死者は、7万人を超えました。
■当局の職員か…武漢取材で女性が尾行
1月、世界で初めて新型コロナの集団感染が確認された武漢に向かいました。海鮮市場は、今も高い壁に囲まれていました。取材していると、青い帽子をかぶった女性がスマートフォンでずっとこちらを撮影。尾行のようでした。
海外メディアを監視する中国当局の職員とみられるこの女性は、市民にインタビューをしている時にも、帽子を変えてまで尾行。ずっとついてきました。「どうして私たちを撮影していたんですか」と聞きましたが、女性は押し黙ったままでした。
中国政府は、新型コロナの起源は武漢ではなく、海外から流入した可能性があると繰り返し主張。厳しい監視が続いています。
■デモ参加…動画を託して消息不明に
SNSに投稿されたある動画で今、波紋が広っています。去年11月に北京市内で起きた、ゼロコロナ政策への抗議デモに参加した女性が訴える動画です。「皆さんがこの映像を見ている時点で、私はすでに警察に連行されているでしょう」
女性は、同じく参加した友人らが昨年12月、次々と逮捕されたと強調します。動画では「すでに4人の友人が、何の通知もなく逮捕されました。彼らが逮捕状にサインさせられた時、罪名の欄は空白でした」と明かしました。
女性はこの動画を友人に託した後に消息を絶ったとされていて、SNS上では「12月24日に拘束された」との情報もあります。
女性は動画で「平凡な若者たちの人生を代償にして、(政府は)何のために報復するのでしょう。私たちを助けてください」と語りました。
(1月23日『news zero』より)