ギリシャ「反対」多数 財務相が辞意表明
ギリシャで5日に行われたEU(=ヨーロッパ連合)側が求める財政再建案を受け入れるかどうかを問う国民投票は、開票の結果、反対が賛成を大きく上回った。今後の支援再開を巡る交渉はさらに難航が予想される。アテネから渡辺祐史記者が中継。
ギリシャ内務省によると、国民投票(開票率100%)は財政再建案への賛成が38.69%、反対が61.31%となり賛成に20ポイント以上の大差をつけた。これを受けて、チプラス首相は勝利宣言を行った。
チプラス首相は「(EU側との)交渉により力を入れ、緊縮に縛られない公平な合意を目指す」、さらに「交渉のテーブルに戻る」と述べ、EU側との協議を急ぐ考えを示した。
事前の世論調査では賛成と反対が拮抗(きっこう)していたが、なぜここまで大差で反対派が勝ったのか?
要因はいくつかあるが、1つは2人に1人が失業した状態にある若者の存在があげられる。地元メディアは若者の約7割が反対に投票したと分析している。将来を見通せない若者の心に「反対の意思を示せば支援が再開できる」とするチプラス首相の主張が、浸透した結果とも言えそう。
EUの財政再建案には反対する姿勢を示したギリシャだが、これからEU側との交渉はどうなっていくのか?
EU側は、今回の結果について「非常に残念」との声明を出したが、まずはギリシャ側の出方を見る構え。
一方のチプラス首相は、大差で示された民意を受けて、強気でEU側に支援を求めていくとみられる。今後の山場は20日に迫っているECB(ヨーロッパ中央銀行)保有の国債(約4700億円)の償還。これが返せないと債務不履行(=デフォルト)の可能性が高まり、ユーロ圏離脱の現実味がさらに高まる。首相も「国債の繰り延べ返済が論点のひとつになる」としていて、これが受け入れられるかが焦点。
一方で、EU側との交渉役を務めてきたバルファキス財務相が突然、辞意を表明したが、真意はわかっていない。7日にはチプラス首相がユーロ圏の首脳らと顔を合わせる首脳会議が開かれるが、EU側がどこまでギリシャの主張を受け入れるのか注目される。