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バンコク爆弾テロ 観光にも深刻な影響が…

2015年8月28日 18:30
バンコク爆弾テロ 観光にも深刻な影響が…

 バンコク中心部の寺院で起きた爆弾テロ事件。いまだ解決していない事件の影響を、松永新己記者が取材した。


【爆発の現場にささげられる“祈り”】
 タイの首都バンコク。事件後、初めての日曜日となった8月23日、爆発のあったエラワン廟には多くの観光客や地元の人が訪れていた。本来の姿を取り戻しつつあるエラワン廟だが、爆発のあった場所には今も花が手向けられている。事件があったのは8月17日。参拝客らが集まるエラワン廟で爆弾が爆発し、20人の命が失われた。エラワン廟に訪れていた女性はこう語る。

 「犠牲者のために魂が安らかに眠れるように祈りました」


【エラワン廟は“大切な聖なる場所”】
 日々、多くの人がお参りするエラワン廟。人々は花などを供え、無病息災や家内安全など様々な願いをかける。エラワン廟は今から約60年前、建設中のホテルで多発した事故をおさめるためにつくられた。今では人々にとって大切な場所となっていて、願いがかなった人たちは再びここを訪れ舞踊や音楽をささげる。街ではこんな声も――

 「ここはバンコクに住む人にとって、とても大切な聖なる場所です」


【参拝客はいつもの4割ほどに】
 爆発後、一時閉鎖されていたエラワン廟。現在は再開されているが、お参りに来る人の数は完全には戻っていないという。この場所で花を売る女性によると――

 「参拝客の数はいつもの4割ほどです」

 エラワン廟はバンコク中心部の多くの百貨店などが集まる繁華街にあり、その周辺と合わせて外国人観光客が訪れる人気の観光地としても知られている。エラワン廟を訪れていた観光客に話を聞いた。

 「爆発を起こした犯人は一刻も早くみつかるべきだと思います。ひどい事件です。事件はタイ国民、国家、そして観光やすべてに影響があります」

 「バッグの中を厳重に調べられたりとか、普段とは様相は違うという感じは受けました」


【事件が及ぼした観光業への影響】
 2014年の1年間で約2500万人の外国人が訪れ、観光業がGDP(=国内総生産)の約1割を占めるタイ。今回の事件はタイの観光業にも影響を与えている。観光地で服を売る人は――

 「客はとても減っています。服を買う人は普段の半分に落ち込んでいます」

 バンコクの日系旅行会社では事件後、客からの問い合わせが相次いでいるという。タイシンエクスプレスの花巻順一郎取締役は、現状をこう語ってくれた。

 「今週になって問い合わせ、キャンセルなどが若干出てます。安全なのかどうなのかという問い合わせが多いです」


【安全性は?そして捜査の進展は――】
 現地に住む日本人にも不安が広がっている。バンコク在住の女性はこう話す。

 「犯人は早く捕まってほしいというのと、人混みにはあまり行かないようにしている。あまり家から出ないように気をつけています」

 タイ警察当局の幹部らが観光地などを積極的に視察し安全性をアピールしているが、事件解決に向けた有力な手がかりは無いままだ。目立った進展がみられない警察の捜査に対し、不満の声もあがっている今回の事件。国、そして人々の心に大きな影響を与えている。