英労働党首に“強硬左派”コービン氏選出
イギリスで12日、「影の首相」と称される最大野党・労働党の党首に、核戦力の放棄など急進的な政策を掲げるジェレミー・コービン氏が選出された。
コービン氏は、12日に開票が行われた労働党の所属議員や党員による選挙で6割近い票を得て圧勝した。勝利後の演説でコービン氏は「今の政権は経済危機を利用し、貧しさにあえぐ人たちに重荷を課した」と与党・保守党のキャメロン政権を批判し、新たな経済戦略の必要性を訴えた。
コービン氏は66歳。党内でも少数派の強硬左派に属し、議会の採決で党の方針に逆らって500回以上投票するなど「異端の政治家」とされている。
党首選では公共事業の拡大など緊縮財政への反対姿勢を明確にし、核戦力の放棄や鉄道の再国有化、大学の授業料無料化などの公約を掲げ、若者などに支持を広げた。
労働党は今年5月の総選挙で保守党に大敗し、当時のミリバンド党首が辞任した。コービン氏勝利の背景には、保守党との政策の違いを明確に打ち出せていない党への反発などがあるとみられているが、急進的な政策を掲げるコービン氏の下で党がまとまり、5年後の総選挙で政権を奪還できるのか不安視する声も上がっている。