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議長声明「南シナ海」触れず 拡大国防会議

2015年11月4日 18:12
議長声明「南シナ海」触れず 拡大国防会議

 マレーシア・クアラルンプールで開かれたASEAN(=東南アジア諸国連合)と日本やアメリカ、中国などの防衛トップによる会議で、当初予定されていた共同宣言の採択が見送られ、議長声明でも「南シナ海」については触れられなかった。

 会議では当初、全ての参加国の同意が必要となる「共同宣言」を発表する予定だったが、会議の途中で突然、見送りが伝えられた。

 日本時間の4日午後、議長をつとめたマレーシアのヒシャムディン国防相が共同宣言のかわりに、自らの裁量で発表できる「議長声明」を発表したが、「海上警備について議論した」としながらも、焦点となっていた中国が埋め立てを進める「南シナ海」という名称は出なかった。日本やフィリピンなどはアメリカが主張する「航行の自由」を支持したが、経済的な結びつきから中国への「配慮」を求める国もあり、その意向が反映された結果となった。

 一方、中国国防省は「地域外の国が今回の議論に含まれない内容を押し込もうとした」と名指ししないものの、アメリカなどを批判するコメントを発表した。会期中、中国はメディアの前で目立つ行動をせず、参加国に強いプレッシャーをかけた印象もない。

 今回はASEANがアメリカと中国の対立がより激化するのを恐れて、角が立つ宣言を避けたとの印象を受けた。