フランスのパリで起きた同時多発テロは、発生から５日目の朝を迎えた。オランド大統領は過激派組織「イスラム国」と「戦争状態にある」と表明し、対決姿勢を強めている。最も多くの犠牲者を出したパリの劇場の前から小島康裕記者が最新情報を伝える。

　８９人が亡くなったパリの劇場の前では現地時間の１６日夜、規制線が外された。看板には事件当時、コンサートが行われていたロックバンドの名前がかけられていて、ここだけは時間が止まってしまっている印象。

　パリは１６日から臨時休校となっていた学校や、閉鎖されていた観光名所も再開された。通常の生活に戻りつつあるが、１６日夜には今回の事件に関連して１２８か所の家宅捜索が行われた。

　ラジオに出演したバルス首相は１７日、「１月に起きた新聞社『シャルリ・エブド』の襲撃以来の緊張感を保てなかったことを後悔している」と語った。

　フランス政府は治安維持のために軍や警察など１１万５０００人を動員しているということで、依然として緊張した状態が続いている。

　事件の首謀者の疑いがあるとして、ベルギー出身の男の名前が大きく報じられている。シリアで「イスラム国」に合流しているアブデルハミド・アバウッド容疑者だが、フランスメディアによると、このアバウッド容疑者はベルギーで１月に警察へのテロを計画していたとして、イスラム系関係組織が一斉に摘発された事件で捜査の対象になっていたという。

　アバウッド容疑者はこの事件のあとに、「イスラム国」シリアに戻ったとみられている。

　また、実行犯グループはパリ郊外にアジトがあった可能性があり、家宅捜索が行われたが、武器などは見つからなかったという。フランスメディアは死亡した実行犯の１人が事件の３日前から１週間にわたり、この民家を契約していたと伝えていて、詳しい捜査が行われている。