アバウッド容疑者 実行犯の1人だったか
フランスのパリで起きた同時多発テロから1週間。事件現場では人々が祈りをささげ、テロに負けない決意を新たにした。一方、首謀者とみられ、治安部隊の突入作戦で死亡したアバウッド容疑者は、実行犯の1人だった可能性が浮上している。
20日、事件が起きた午後9時半頃、事件現場に集まった人々の間から、自分たちを励ますかのように拍手がわき起こった。人々が口にしたのは“テロに屈しない”という思い。
追悼に来た人「今日はここに来なければなりませんでした。事件後も普段の生活を続けていると示し、パリを愛していることを示すのです」
一方、パリ近郊のイスラム教のモスク。通常金曜日は集団で礼拝を行う日だが、20日は臨時の追悼集会が行われていた。
クレテイユ市長「宗教や思想を超え、同じ人類としての価値観で団結することが大事なのです」
指導者らは、テロに対抗するため団結するよう呼びかけた。
パリ同時多発テロから5日後の18日、パリ郊外のサンドニで起きた銃撃戦では、首謀者とみられるアバウッド容疑者ら2人の死亡が確認されている。さらに、検察は20日、新たに1人の遺体が見つかったと発表した。
事件後のアバウッド容疑者の足取りも徐々に明らかになってきた。その行動は大胆不敵ともとれるものだった。
地元メディアによると、襲撃された劇場から約5キロ離れた地下鉄の監視カメラに、アバウッド容疑者とみられる男が映っていたという。また、犯行に使われたとみられる車に残された自動小銃にアバウッド容疑者が触った痕跡もあったということで、実行犯の1人だった可能性も出ている。
一方で、カフェなどの襲撃に関わったサラ・アブデスラム容疑者ら2人の行方は、今も分かっていない。事件現場から車で逃走したとみられるサラ容疑者。事件が計画されたベルギーの首都・ブリュッセルでの目撃情報が出ている。
地元メディアは、パリと結ぶ高速鉄道がとまるブリュッセル南駅の駅周辺で、サラ容疑者が車を乗り捨てたのではないかと伝えている。ベルギー政府は、ブリュッセルのテロ警戒レベルを最高レベルに引き上げた。
過激派組織「イスラム国」への攻撃を強化しているロシア軍。ロシア国防省兵士がミサイルに“パリのために”書き込んだ。
日本時間21日朝に開かれた国連の安全保障理事会は、「イスラム国」のテロを防ぐためにあらゆる手段を講じるよう求める決議を、全会一致で採択した。
フランス国連大使「『イスラム国』による脅威の異常さを確認した」
非常事態宣言の期間が3か月に延長されたフランス。人々の不安と緊張は今も続いている。