×

露軍機乗員「トルコ側から警告はなかった」

2015年11月26日 12:44
露軍機乗員「トルコ側から警告はなかった」

 トルコとシリアの国境付近で24日、ロシアの爆撃機が撃墜された事件で、救出された乗員がインタビューに応じ、トルコ側から事前の警告はなかったと話した。これに対し、トルコ側は、ロシア軍機に警告したとする音声を公開した。

 撃墜されたロシア機の乗員2人はパラシュートで脱出し、1人は地上から銃撃されて死亡したが、もう1人はロシア軍とシリアのアサド政権軍により救出された。25日、この乗員がシリア領内にある基地でロシアメディアのインタビューに応じた。

 撃墜されたロシア軍機の乗員「無線でも視覚的にも警告は一切なかった。突然、機体後部にミサイルが命中し、回避行動を取ることもできなかった」

 この乗員は、一秒たりともトルコの領空を侵犯していないなどと主張した。

 一方のトルコ軍は25日、ロシア軍機に対して行った警告を録音したものだとする音声を公開した。

 録音された音声「進路を直ちに南に変更せよ!」

 ロシアがトルコの領空を侵犯していないとの主張を続ける中、改めて撃墜の正当性を示す狙いがあるものとみられる。

 こうした中、ロシアのラブロフ外相とトルコのチャブシオール外相が電話で会談した。トルコ外務省は近日中に外相会談を行うことで合意したと明らかにしたが、ロシアのラブロフ外相はこれを否定。撃墜は「計画された挑発行為だ」と非難した。

 ロシア、トルコ双方とも「緊張の激化は望まない」姿勢を示しているが、モスクワのトルコ大使館前では25日、撃墜に抗議する市民らが集まり、一部が石を投げて大使館のガラスを割るなどした。両国の対立がこれ以上深まれば、過激派組織「イスラム国」への包囲網づくりが乱れることが懸念される。