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オバマ大統領が広島訪問を決断した背景は?

2016年5月11日 12:20
オバマ大統領が広島訪問を決断した背景は?

 アメリカのオバマ大統領が今月27日、現職のアメリカ大統領として初めて被爆地・広島を訪問することが決まった。オバマ大統領が決断した背景には何があるのか。アメリカ・ワシントンから近野宏明記者が伝える。

 任期切れを控えたオバマ大統領としては、自身が提唱する「核なき世界」への変わらぬ思いを示し、自らのレガシー「遺産」としたい狙いがある。

 ホワイトハウス・アーネスト報道官「我々は核兵器を使った唯一の国であり、それゆえに核兵器廃絶を主導する責任がある」

 オバマ政権は、ルース前駐日大使から先月のケリー国務長官まで、徐々に位を上げて広島訪問を重ねた。特にケリー長官は「大統領に訪問を促す」と踏み込んだ発言をしたが、世論の反発は思いのほか小さく、有力紙も訪問を支持したため、機は熟したという判断に至ったもの。

 また、11月に行われる大統領選挙でも民主党にとって不利には働かないとの判断もあったとみられる。ただ強い発信力を持つ共和党のトランプ氏が、この広島訪問を攻撃の材料として批判しないかという懸念は残る。

 しかし、ホワイトハウスは「今回の訪問を『謝罪』と解釈するのは誤りだ」とはっきり述べているほか、原爆投下の是非についても「正しい決断」と強調した。反対論にも周到な予防線を張ったうえで、広島訪問に臨む構え。