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“米史上最悪”銃乱射、なぜ起きたのか?

2016年6月13日 19:16
“米史上最悪”銃乱射、なぜ起きたのか?

 アメリカ史上最悪となった米・フロリダ州の銃乱射事件。容疑者の男は、銃撃前に「イスラム国」の指導者に忠誠を誓っていると話していた。犯行動機の背景に何があるのか。「イスラム国」の情勢に詳しい現代イスラム研究センター理事長・宮田律氏に話を聞いた。

■事件と「イスラム国」との関連

――この事件後に「イスラム国」系の通信社が「『イスラム国』の戦闘員の犯行だ」との犯行声明を出している。組織的犯行の可能性は?

 組織的か、いわゆる“一匹オオカミ”の犯行かは不明だが、「イスラム国」としては、今回の事件を、何らかの組織活動の宣伝には使いたいというところはあるだろう。現在、イラクやシリアでは「イスラム国」の拠点が多国籍軍やイラク政府軍などによっておされ、危機的状況にある。

――現状「イスラム国」は追い詰められているような状況にある?

 そう言える。そういう焦りも、こういった犯行声明に表れているのかなという気もする。

■容疑者の人物像

――オマル・マティーン容疑者のプロフィルを見ると…
・両親はアフガニスタン出身
・離婚後、イスラム教への信仰が深くなっていた
・事件直前「『イスラム国』の指導者に忠誠を誓っている」
これらをどう見るか?

 現在、イラクやシリアでは劣勢だが、アフガニスタンでは「イスラム国」の支持者が増えている。そういうネットワークの中に彼がいたとも考えられる。

 両親がアフガニスタン人ということは、おそらく1980年代に対ソ連戦争の時に難民として、アメリカに渡った人たちかと。アメリカ社会の中では、それほど恵まれてこなかったのではという気がする。

――今、イスラム教徒の間ではラマダンという時期にあたるが、それとの関連は?

 ラマダンというのはイスラム教徒が1か月間、日の出から日の入りまで断食をして、宗教意識が非常に高揚する時期。そういった時期に、「イスラム国」が、自分たちとの共闘を全てのイスラム教徒に向かって呼びかけた。

――その呼びかけに呼応するかたちで起きたテロとも考えられる?

 その可能性も否定はできない。

■同性愛者に対する考え方

――今回のテロが起きたナイトクラブは、同性愛者が集まる場所として知られている。容疑者の父親によると、「息子は数か月前に男性同士がキスをしているのを見て怒っていた」と話している。「イスラム国」では同性愛者をどう見ているのか?

 組織としての「イスラム国」は、やはり同性愛者を死刑に処するという考え方。見せしめとして、ビルから落としたりして処刑している。イスラム世界全体でも、同性愛者を死刑にする国は、結構ある。

――イスラム教の教えの中では、同性愛に対して厳しい考え方をとっている?

 解釈によっては、同性愛に対して非常に厳しい考え方する国が、少なからずある。

■テロは防げなかったのか

――容疑者はこれまでに2度、イスラム過激派との関連についてFBI(=アメリカ連邦捜査局)から事情聴取を受けていたことがわかっている。なぜアメリカ国内ではテロが防げなかった?

 明白な証拠、「イスラム国」とのつながりがつかめなかったのだろう。FBIとすれば、一生懸命情報を集めているとは思うが、彼と「イスラム国」の接点が、証明できなかったのだろう。ただ、やっぱりこれから、「イスラム国」に対して軍事行動をしている国は、こういったテロは気をつける必要がある。