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EU離脱か残留か どうなる英国・国民投票

2016年6月18日 18:29
EU離脱か残留か どうなる英国・国民投票

 EU離脱の賛否を問うイギリスの国民投票は23日に行われるが、離脱派・残留派の双方は激しいアピール合戦を繰り広げてきた。

 イギリスの首都ロンドン西部には、ポーランドの移民が経営する店が数多くある。ポーランドからの移民が経営し、この地区だけで11店舗を展開しているスーパーの棚には「ポーランド製」と書かれた缶詰が並んでおり、商品の多くが輸入品だという。

 スーパーのオーナーは「ここにある肉はすべて2日で売り切れるよ。客のほとんどはポーランド人だ」と話す。来店する客の多くが、ポーランドからの移民だという。

 ポーランドなどEU(=ヨーロッパ連合)に加盟する28か国。その国民は、イギリスなど他の加盟国へ自由に移動し、暮らすことができる。EU加盟国からイギリスに入った移民の数は近年、増え続けていて、去年は過去最高の16万人以上。

 こうした増加する移民の問題がひとつのきっかけとなり来週、国の行方を大きく左右する投票が行われる。それが「EUからの離脱の賛否を問う」国民投票だ。

 離脱派の中心的な存在が前ロンドン市長のジョンソン氏。国民からの人気が高く、次の首相候補とも言われている。私たちはそんなジョンソン氏に直接、話を聞くことができた。

 「移民を擁護しているが、バランスを保つべきだ。EU各国からの入国を全くチェックしていない。重大な犯罪歴がある人物も入国しかねない。ばかげている」-ジョンソン氏は、無制限にやってくる移民がイギリス国民の生活を脅かしかねないと指摘した。

 一方、残留を訴えるキャメロン首相は、離脱が経済に与えるダメージを強調する。

 「EUに残留すれば経済は発展する。EUから離脱すれば経済が縮小し、雇用や賃金、税収も減るだろう」-キャメロン首相は関税がかからないEUに加盟しているからこそ繁栄を維持できるとして、残留をアピール。自らも有権者に電話をかけて支持を訴えた。

 最近の世論調査(6/11~14、Ipsos MORI/Evening Standard)では、EU残留が47%、EU離脱が53%(態度未定を除く)と、離脱派の優勢が伝えられているが、双方は連日、火花を散らしている。

 しかし、EUの政治経済が専門のロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのフェザーストーン教授はこの国を二分する議論は、イギリスだけにとどまらず、EU各国に波及する恐れもあると指摘する。

 フェザーストーン教授「離脱派が勝てば、EU各国にEU懐疑主義が広まる可能性がある。来年のフランス大統領選でも、EUに懐疑的な極右政党が勢いづく」

 残留か、離脱か。イギリスだけでなく、世界が注目する国民投票は、来週23日に行われる。