EU離脱派勝利 先行きへの懸念広がる
イギリスが国民投票でEU(=ヨーロッパ連合)からの離脱を決めてから一夜が明けた。国内外では早くも先行きの不透明感に対する懸念が表面化している。ロンドンから若林大介記者が伝える。
イギリスは24日の騒動から一転、穏やかな土曜の朝を迎えているが、各紙の朝刊は一面でこのニュースを伝えている。
残留支持だった新聞The Times紙は、「Brexit Earthquake」との見出しで、EU離脱の衝撃を「地震」に例えると同時に、イギリス崩壊の恐れがあるとしている。
一方、離脱支持のThe Sun紙は、新しいイギリスはEUの足かせを外してよみがえると、イラストで喜びを表現している。
今回の投票結果を見ると、イギリスは文字通り、真っ二つに割れた。今後はいかに融和を進めるかが大きな課題となる。最大の懸念は、残留派が多かったスコットランド。2014年にイギリスからの独立を問う住民投票を行ったばかりだが、再びその機運が高まりつつある。
投票結果を受け、スコットランド民族党のスタージョン党首は24日、「スコットランド議会は再び住民投票を行う権利がある」などと述べた。EU諸国との経済的結びが強いスコットランドとしては、独立して再び戻る方が得策だとの思いがある。
また、キャメロン首相の後継者選びも今後の火種となる可能性があるが、離脱派勝利の立役者で、有力候補とされる前ロンドン市長のジョンソン氏は以前、私たちの取材に首相への野心はないと語っている。
ジョンソン氏「(Q:“次期首相”と言われるが?)それは間違いだ。私の仕事はEU離脱の達成だけだ」
一方、EU側は26日、発足時からのメンバーであるドイツやフランスなど6か国が外相会議を開き、対応を協議する。会議に先立ちドイツの外相は、各国は冷静に対応しなければならないと述べた。
さらに来週28日からは、2日間にわたってEU首脳会議が開かれる。イギリスのキャメロン首相も出席するため、ここで残りの27か国との間でどのようなやりとりが交わされるのかが当面の焦点となる。