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なぜ今日?朴大統領が任期満了前の辞任意向

2016年11月29日 18:24
なぜ今日?朴大統領が任期満了前の辞任意向

 友人の国政介入疑惑で、韓国の朴大統領は29日午後、任期満了前に退陣する意向を表明した。韓国・ソウルから藤田賢治記者が伝える。

 一連の疑惑の発覚以来、朴大統領は一貫して「大統領の職を全うする」としていたが、このタイミングで表明した理由として、「もはやこれ以上持ちこたえることはできない」と考えを変えざるを得なかったという。

 客観的に見て現状はすでに朴大統領が求心力を回復できる状況ではない。さらに野党は、早ければ来月2日の弾劾訴追案の国会での採決を目指している。

 このままでいくと韓国史上で初めてとなる「弾劾で罷免される大統領」になる可能性も現実化しつつある。朴大統領にしてみれば、今であれば「国政の混乱を最小化するために自ら職を辞した」という形をとり、その不名誉を避ける可能性があるギリギリのタイミングということになる。

 大きく疑惑が報道されてから1か月たったこのタイミングになった理由は、朴大統領はやはり当初から世論の批判の高まりを読み誤っていたと考えられる。当初、一連の疑惑は特定の個人、つまり崔順実被告らが関わった行為で自らは関与していないとした。しかしその後、疑惑が次々と噴出し、検察が大統領を「容疑者」と認定する前代未聞の事態になり、大統領は「ウソをついている」「言い訳ばかり」ととらえられ退陣を求める声は高まり続けた。

 ソウルで行われた集会には主催者発表で150万人と過去最大規模になり、こうした世論の後押しを受けて野党の足並みはそろい、まさに弾劾に踏み切ろうとしている。朴大統領は一度決心するとかなり頑固だとされているのだが、この状況では、さすがにもはや「持ちこたえられない」と認識を変えざるを得なかった。

 朴大統領は与野党が国政の混乱を最小化する道筋をつくってくれれば、その日程と法的手続きに従い職から退くとした。しかし野党は早くも批判を強めている。

 最大野党「共に民主党」・秋美愛代表「条件をつけない下野が民意だ。弾劾を前に混乱させる策で、弾劾を避けるための見せかけだ」

 野党は朴大統領が任期満了前の退陣の意向を示しても弾劾手続きを進める方針。ただ、弾劾の成立には与党から造反する議員の賛成が必要で、29日の談話がその判断に影響を与える可能性もある。