「君はダメだ」会見で対決姿勢をあらわに
全世界が注目する中、今月20日にアメリカ大統領に就任するドナルド・トランプ氏が大統領選後、初めてとなる記者会見を行い、会見には300人以上のメディア関係者が集まった。これまでメディアを度々批判してきたトランプ氏は、この会見でも、詰め寄る記者の質問を最後まで拒否するなど、対決姿勢をあらわにした。
■雇用創出について
トランプ氏がまず触れたのは、肝いりの「雇用創出」だった。
「今後、雇用を生み出していく。最大の雇用を生み出す大統領になる。そのために尽力するつもりだ」
トヨタなどの大手自動車メーカーがアメリカでの投資を相次いで発表したことに触れ、さらなる雇用の創出に自信をのぞかせた。
さらに日本を名指しして、貿易収支の改善に乗り出す考えを示した。
「中国、日本、メキシコ、他国との貿易で毎年、数千億ドルが失われている」
これまで批判してきた中国やメキシコに「日本」も加えた形だ。
これに対し、菅官房長官は12日午前の会見で、「トランプ次期大統領に対してということでなくて、政府としてはこの活発な貿易投資は、日米経済関係の活力の源泉であると思っています」と述べた。
■「君はダメだ」質問拒否
約1時間にわたったトランプ氏の会見では、こんな場面も。
「君はダメだ。君の組織はひどい」
自らに批判的な報道をしたCNNテレビの質問を拒否したのだ。
CNN記者「我々を攻撃するなら質問を!」
トランプ氏「次!君じゃない」
CNN記者「質問させてくださいよ!」
トランプ氏「別の人が質問しようとしている。失礼だろ」
トランプ氏「君に質問の機会は与えない。君らは偽のニュースだ」
CNNは会見の前日、ロシアのサイバー攻撃に関連し、「トランプ氏はロシアに弱みを握られている」と報じていた。
質問を拒否されたCNN記者はツイッターで、「こんなことは初めてだ」「さらに質問しようとしたら、つまみ出すぞと脅された」とコメントしている。
メディアとの対決姿勢を変えないトランプ氏。有力紙ニューヨークタイムズは「メディアとの新たな戦争が始まった」と伝えている。
■変化した「ロシアへの態度」
また、トランプ氏は看板政策のメキシコ国境沿いの壁の建設について、「就任後、すぐにメキシコとの交渉を始める」と発言。オバマ大統領肝いりの医療保険制度「オバマケア」は「廃止する」と改めて主張した。
一方で、変化したのが「ロシアへの態度」。
「ハッキングは、ロシアがやったと思う」
「大統領選挙でロシアがサイバー攻撃をした」との情報機関の発表を受け、ロシアの関与を初めて認めた。さらに、意欲を見せていたロシアとの関係改善も、ややトーンダウンした。
「プーチン大統領と私が仲良くやっていけるかはわからない。そうなればいいが、そうならない可能性もある」
選挙から2か月経過して、ようやく会見に応じたトランプ氏。言葉通り、世界を動かすのだろうか。