EU離脱へ動き出し…メイ首相強気の理由は
イギリスのメイ首相が17日、EU(=ヨーロッパ連合)からの離脱に向けた基本方針を初めて明らかにした。いよいよ離脱への歯車が動き出したことになるが、その背景に何があるのか。イギリス・ロンドンから亀甲博行記者が伝える。
現地時間で18日朝の新聞では、メイ首相のことを「鉄の女」と呼ばれたサッチャー元首相になぞらえて、「ニュー・アイアン・レディー(=新しい鉄の女)」と呼んでいる。
経済よりも移民の制限を優先したメイ首相だが、その理由を端的に表現したのが、17日に述べた「国民投票における国民からのメッセージは明らかだった。EU離脱とは、ヨーロッパからの移民の制限を意味する」との言葉だった。EUを離脱するうえで、移民の制限だけは絶対に譲らないという強い姿勢がにじみ出ていた。
なぜメイ首相はそんなに強気なのか。その理由のひとつと考えられるのが、好調なイギリス経済。イギリスの超高級車「ロールスロイス」は、内装を専属の職人が仕上げていて、このモデルは値段がなんと8400万円。実は6月にEU離脱の国民投票があったにもかかわらず、去年1年間のロールスロイスの売り上げは大きく伸びた。
ロールスロイスCEO「市場の先行きは不透明だがイギリスの売り上げは25%伸びた。(EU離脱が決まったことで)今のところ何も影響はない」
ただ、本当の離脱交渉はまだ始まっていないので、経済に影響が出ていないのは当然、という見方もできる。今後、金融機関などの中には拠点をイギリスからほかの国へと移す動きも出るとみられる。強気な姿勢のメイ首相だが、実体経済への影響をにらみながら慎重に交渉を進めることが求められる。