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新たに北朝鮮籍の男4人を特定 正男氏殺害

2017年2月19日 20:01

 金正男氏がマレーシアで殺害された事件で、現地の警察は19日、事件後初めてとなる記者会見を行い、事件に関与した疑いで新たに北朝鮮国籍の4人の男を特定し、行方を追っていることを明らかにした。

 記者会見は事件後初めてとあって、会見場には100人以上のメディア関係者らがつめかけた。その中で、現在までの捜査の進展状況を明らかにし、事件に関与した疑いで新たに北朝鮮国籍の4人を特定したことを明らかにした。4人は30代と50代の男で、マレーシアへの入国日はばらばらだが、全員が事件当日に国外逃亡したという。

 会見では出国先について特定しているようだったが、「開示しない」と述べ、明らかにしなかった。一方で、インターポール(=国際刑事警察機構)に捜査協力を依頼する考えを示した。また、この4人のパスポートは外交官用のものではなく、一般のパスポートだと説明した。さらに、この新たな4人とは別に、3人が事件に関与しているとしたが、一部の身元は特定できていないという。

 一方、焦点となっている金正男氏の死因だが、まだ明らかになっておらず、使われた毒物の特定もまだできていないとしている。また、遺体の引き渡しについては、法律で死亡から2週間以内が期限で、引き渡す相手は親族が優先されるとの立場を示しているが、まだ名乗り出てきていないという。

 この事件をめぐっては、これまでに男女4人が逮捕されている。この日の会見で新たに関与が明らかになった7人を加えると、事件には10人以上が関わった可能性があり、相当大がかりで周到に準備された犯行だったとの見方ができる。

 また、すでに逮捕されている女2人が「いたずらだと思っていた」と供述していた点について記者から質問が出たが、女の関わり方についてはまだ捜査中とした。

 一方、北朝鮮国籍で17日に逮捕されたリ・ジョンチョル容疑者は、マレーシアでがんに効くという漢方薬を輸入販売する会社に勤務していたとみられているが、NNNはこのリ容疑者をよく知る人物から話を聞くことができた。その人物によると、リ容疑者はマレーシアでビジネスをしたがっており、2年前に外国人登録証を取得できるよう協力したと話している。また、英語は話すことはできず、英語を話すときはいつも娘を通訳として使っていたという。化学の知識があるかについてはわからず、ビジネスマンだと思っていたと話していた。

 会見で警察は「政治的な背景については興味がない。知りたいのはなぜ私たちの国で事件を起こしたのかであり、真実と証拠を集めるのが我々の責任である」として、外交的な取引には応じず、捜査に徹する姿勢を強調した。