正男氏殺害、中国は静観も“不信感深まる”
マレーシアで殺害された金正男氏が生活の拠点を置き、正男氏を保護する立場にあった中国は、今回の事件をうけ、北朝鮮への難しい対応を迫られている。
中国外務省報道官(24日)「(Q:事件をめぐり北朝鮮についてどうみるか?)発表は暫定的なもので結論はまだ出ていない」
事件について多くを語らない中国。こうした政府の意向は報道にも反映されていて、国営テレビは今週になってようやく本格的に事件について伝え始めた。ただ、今も正男氏の名前を出さず、「朝鮮籍の男性」としていて、新聞各紙も同様の扱いとなっている。
静観する姿勢からは対応に苦慮する中国の難しい立場がにじんでいる。
北朝鮮の度重なるミサイル発射などで北朝鮮との関係は冷え込んでいる。中国が制裁措置として北朝鮮からの石炭の輸入を停止したことに北朝鮮が反発した時にも、中国はあくまでも制裁を実行すると突き放している。そんな中で起きた今回の事件で、「北朝鮮への中国の不信感はさらに深まった」とある外交筋はみている。
一方で中国は、北朝鮮が孤立を深めて朝鮮半島が不安定化することを望んでいない。中国は、表向きは今回の事件で対北朝鮮政策に変わりはないとの姿勢をみせて、北朝鮮を追い込みすぎないよう慎重に対応するものとみられる。