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シリア政権軍「露骨な侵略行為だ」米を非難

2017年4月7日 18:23

 アメリカ軍がアサド政権への対抗措置だとして、シリア国内の空軍基地に向けて巡航ミサイルを発射したことについて、シリア国内の反応をエジプト・カイロ支局の天野英明記者が伝える。

 トランプ政権の強硬ですばやい対応はアサド政権側にとって「想定外」といえる。一報が入ったのは、現地時間の未明だったが、国営メディアはすぐに反応し、アメリカによる「侵略行為だ」と伝えた。

 政権軍は会見を開き、今回の攻撃で6人の死者が出たと発表した。また、「露骨な侵略行為だ」「アメリカはテロ組織のパートナーになった」などと述べ、攻撃を強く非難した。基地がある中部ホムス県の知事も、一般市民にも犠牲者が出たと述べ、自分たちが被害者でありアメリカが残虐行為をしたとアピールしている。

 アメリカが単独で直接、軍事行動に出たことでシリアの内戦はさらに複雑化する恐れがあり、和平への道は遠のいたといえる。

 アサド政権はロシアと手を組んで反体制派の一掃に乗り出していて、今回、化学兵器を使ったとされるイドリブは反体制派にとっていわば最後の砦。政権側からすれば仕上げの段階ともいえる。

 政権側は、トランプ政権がシリア内戦に明確な態度を示さないうちに短期間でここを制圧しようと化学兵器を使用した可能性があるが、トランプ政権が直接、それに待ったをかけた形。

 今回の軍事行動はあくまで限定的とみられるが、アサド政権のみならず、その後ろ盾のロシアが強く反発することは必至。アメリカとロシアが協力しないと和平は進まない。内戦をめぐる構図は一層複雑化したといえる。

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