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米のシリア攻撃 トランプ政権の思惑は?

2017年4月9日 19:07

 アメリカのトランプ政権は7日、シリアでアサド政権が化学兵器による攻撃を行った対抗措置だとして、シリア国内の空軍基地に向けて巡航ミサイルを発射した。なぜ、トランプ大統領はこのタイミングで決断したのか?アメリカ・ワシントン支局から井上幸昌支局長がリポート。

 米中首脳会談に合わせたのは間違いないと思う。念頭にあるのは北朝鮮。アメリカ政府関係者は周辺に、北朝鮮の後ろ盾である中国に対して「シリアと同じように北朝鮮にも強硬な姿勢で臨むぞ」とプレッシャーを掛ける意味もあったと話している。

 もう1つ指摘したいのが政権内でのパワーバランスの変化。攻撃後の会議の写真で壁際に座るバノン首席戦略官はシリア攻撃に反対だったと伝えられている。トランプ大統領の最側近だったが、今、政権内で最も力があるのは大統領の近くに座るマクマスター大統領補佐官だとみられている。マクマスター氏は陸軍出身の軍人なので、こうした力関係の変化も背景にあるとみられる。

 これまでトランプ政権はアサド大統領の退陣を求めないなど融和的な印象があった。「イスラム国」の掃討で協力したい、というのがその理由だった。ただ、ニューヨークタイムズなどはトランプ大統領は化学兵器によるとみられる攻撃で死亡した子供たちの写真を見て、「直感的に」シリア攻撃を決断したと伝えている。となるとトランプ大統領は今後どうやって「イスラム国」を打倒するのか、さらにはシリアの後ろ盾であるロシアとどう向きあっていくのか、先を見通せていない可能性もある。

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