ノーベル平和賞授賞式へ…日本被団協が会見「最大限の力で伝えたい」 高校生平和大使4人も現地入り
日本時間10日夜に行われるノーベル平和賞の授賞式のため、9日にノルウェーに到着した日本被団協の代表団が、9日夜に会見を開きました。また、同じく現地入りした高校生平和大使の4人は、地元の同世代の人たちに被爆者の体験を伝える授業を行いました。
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日本時間10日夜に行われるノーベル平和賞の授賞式のリハーサルへ向かった、日本被団協の代表団。これに先立ち、授賞式で演説を行う予定の田中熙巳さんが、会見で思いを語りました。
長崎で被爆 日本被団協・田中熙巳代表委員(92)
「本当に私どもの運動の成果が初めて、というと申し訳ないですが、ノーベルの委員会に認められて、それを通して世界の人たちに認めていただけることになったんだと」
「核を、核兵器を使うことが軽く語られるような時代になったことは、大変、私どもにとっては遺憾、悲しい思いがいたします」
──防衛のために核兵器が必要だと主張する国々に、メッセージを
日本被団協・田中熙巳代表委員(92)
「絶対、核兵器で命と財産は守ることができないと確信しています。核兵器による抑止力は存立しえない。広島と長崎で核兵器を使ったらどういうことが起こるか、人間の命に対してどういうことが起こるかということを、目撃し体験しました。若い人たちが核兵器の効果は何なのか、核兵器で何を守るのか、真剣に考えていただけていないのではないかと、疑問を持ちます」
「長くない人生の中でも、最大限の力を振り絞って、核兵器は人類と共存させてはならない兵器だと、若い人たちに伝えていきたい。核兵器が使われるかどうかは、未来の問題です」
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今年10月、日本の個人や団体として50年ぶりにノーベル平和賞受賞が決まった日本被団協。
日本被団協・箕牧智之代表委員(今年10月)
「日本被団協? 電話せんといかん! 夢の夢!」
1956年の結成以来、被爆者の立場から、世界に核兵器廃絶を訴えてきました。
授賞式に出席する代表団、約30人の渡航費などを捻出するため、先月、クラウドファンディングを始めると、わずか1日あまりで目標金額1000万円に到達。9日午後8時時点で、4000万円を超える支援が集まっています。
多くの人々の思いを胸に、代表団は日本時間9日、ノルウェーに到着しました。
日本被団協・箕牧智之代表委員(82)
「今日はオスロに来ることができて、大変光栄に思います。戦争、核兵器、大嫌い。平和が一番!」
同じく受賞発表時、箕牧さんらとともに驚いていた高校生も、ノルウェーへ。核兵器廃絶の署名を集めるなどしてきた「高校生平和大使」の代表として、4人も10日の授賞式に出席します。
高校生平和大使 甲斐なつきさん
「私たちの思いを伝える。それだけじゃなくて、現地の高校生だったり、同じように平和を願う人々の思いをたくさん聞いていきたい」
高校生平和大使 大原悠佳さん
「過去の出来事と捉えがちな問題を『いまも続いている問題である。(核兵器は)1発使われただけで一生、人々を苦しませる』ことを伝えていければ」
9日は、現地の高校生へ向け、被爆者の体験を伝える授業を実施しました。
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世界中の人々へ改めて訴える核兵器廃絶への思い。
日本被団協・田中熙巳代表委員(92)
「(Q.あすの授賞式へ向けて)ものすごい重圧を感じている。受賞させていただいたことの内容が、正しく伝わっていくのがいいと思います。核兵器も戦争もない世界をつくりたい」
(12月9日放送『news zero』より)