「ホロコースト」生存者の強い憤り ガザで起きていることに思うこと
ナチス・ドイツによる大量虐殺「ホロコースト」を生き延びたユダヤ人女性がいます。今、パレスチナ自治区ガザ地区で起きていることに何を思うのか、取材しました。
ロンドンに暮らすアニタ・ラスカー・ウォルフィッシュさん(98)。ホロコーストの記憶を語る、数少ないユダヤ人生存者の一人です。
1943年、18歳のときに、強制収容所に送られました。裸にされ、髪をそられて、腕に収容所番号の刻印を入れられた時、絶望したと言います。
アニタさん「感情はありません。ただ、自分は死ぬんだと諦めました」
戦前、チェロを演奏していたアニタさんは、女性オーケストラに加わります。
記者「アニタさんは、ここで女性たちが朝晩仕事場へ行き来するのに合わせて、チェロを弾いていました」
1944年、ロシア軍が進攻すると、アニタさんは別の収容所へ。翌年4月、病気と飢餓に苦しむ5万人の人々とともに、イギリス軍によって解放されました。両親と家を失ったアニタさんはロンドンに渡り、プロのチェリストに。
アニタさん「つらい記憶です。すべてが苦しかった。自分もガス室送りになることは、わかっていましたから」
アニタさんは「ホロコースト」の記憶が、ガザ地区への攻撃を正当化するために使われていることに、強い憤りを覚えています。
アニタさん「愚かです。ガザ地区で起きていることを正当化できるものは何もない。ホロコーストとは何の関係もありません」
最後に、イスラエルとパレスチナが平和に共存することはできると思うかと聞くと…。
アニタさん「コーヒーを飲みに行ったり、サッカーをしたり、一緒に何かをしたり。文化の違いに興味を持ってください。殺し合いをやめて、話し合うのです。これが私のアドバイスです」